第518話:業務プロセスの自動化とは?(その1)

2017年1月16日

そもそも「業務プロセス」とは何か?

業務プロセスとは「いくつかの工程」を並べたものです。

たとえば、多くの企業で日常的に発生する「受注報告プロセス」でいえば、
  • [1] 営業部社員:受注内容を登録する
  • [2] 営業リーダ:受注内容を確認する
  • [3] 営業部部長:受注内容を承認する
といった「工程」で形成されます。

自動化、2つの視点

そして今日、「生産性向上」のキーワードのもと、話題にあがることが多くなった「業務プロセスの自動化」は、
  • [A] 工程間における案件情報の受け渡しを自動化する
  • [B] とある工程における処理を自動化する
のいずれかの意味で、あるいは両方の意味で議論されています。

「A:受け渡しの自動化」とは?

第1の視点は「案件情報の受け渡しを自動的に行いたい」というニーズです。

「自動」の反対語は「手動」や「人手」であり、つまるところ「人間でない何か」に受け渡しを担ってもらうと言う話になります。今日においてはやはり、「コンピュータとインターネットによる自動化」が基本となります。

「ワークフロー・システム」と呼ばれる製品にとっては、必要条件ともいえる機能でしょう。そして、その様な自動化環境では、
  • [1]の工程のアウトプットが入力されれば[2]の工程に、
  • [2]の工程のアウトプットが入力されれば[3]の工程に、
自動的に伝達されるようになります。

もちろん「あらかじめ業務フローを設定しておく必要があります。そしてまた、現実的には、個々の案件情報が「デジタルデータ」で管理されていること(ペーパレス)が前提となります。

ワークフローによる「受け渡し」

そして今日では、フローの分岐やループに対応する製品が数多く存在します。

たとえば、以下の業務プロセス定義(業務フローの設定)は、
  • [1] 営業部社員:受注内容を登録する
  • [1x] 営業部社員:(差し戻し受け)改めて受注内容を登録する
  • [2] 営業リーダ:受注内容を確認する
  • [3] 営業部部長:受注内容を承認する
  • [4] 営業部部長:100万円超案件の内容を役員報告する
を表現しています。(国際標準表記法 BPMN: Business Process Model and Notation による)

[受注報告プロセス]

「B:工程の自動化」とは?

次に、この例にある[4.役員報告]という『工程』に注目してみましょう。

フロー図を見れば明らかなように、営業部部長は[3.承認]にて「承認する」を入力したのち、100万円超の案件については「案件の内容を全役員に報告する」という処理が必要となります。つまり、この業務プロセス定義に従えば、会議体や個別対面形式で報告したり、メールで報告したりする必要があります。

しかし、もしこの工程を「機械的な通知メール」に置き換えてしまえば、営業部部長の負荷は大きく下がります。

ワークフローによる「自動処理」

この様に「報告する」という「ヒューマン工程」を「自動工程」への置き換えることが、自動化の第2視点である「B:工程の自動化」にあたります。

業務プロセス全体視点では「省力化」、工程視点では「無人化」と言われることもあります。(またBPMN では「サービス工程化」と呼ばれます)

以下の業務プロセス定義(業務フローの設定)は、
  • [1] 営業部社員:受注内容を登録する
  • [1x] 営業部社員:(差し戻し受け)改めて受注内容を登録する
  • [2] 営業リーダ:受注内容を確認する
  • [3] 営業部部長:受注内容を承認する
  • [4] (営業部部長):100万円超案件の内容を役員にメール報告する
を表現します。(国際標準表記法 BPMN: Business Process Model and Notation による)

[受注報告プロセス-役員報告]

「自動工程」と「イベント」の違い

ちなみに、実際のワークフロー・システムにおいては、「メール通知」のような≪小さな出来事≫について、特に『イベント』と呼ぶことがあります。

ただ『自動工程』(サービス工程)と『イベント』の違いについては、あまり議論する必要がなく、実際、
  • [4] (営業部部長):100万円超案件の内容を役員にメール報告する
  • [4] (イベント):100万円超案件の内容が役員にメール通知される
は同じ現象となります。

なお、クラウド型ワークフロー【Questetra BPM Suite】の場合、「メール通知」は『イベント』の標準アイコンとして用意されていますが、『サービス工程』の標準アイコンとしては用意されていません。(上図の例では『サービス工程』の追加機能を使っています)

  • [1] 営業部社員:受注内容を登録する
  • [1x] 営業部社員:(差し戻し受け)改めて受注内容を登録する
  • [2] 営業リーダ:受注内容を確認する
  • [3] 営業部部長:受注内容を承認する
  • [4] (イベント):100万円超案件の内容が役員にメール通知される

[受注報告プロセス-役員通知]

<メール設定画面>

[受注報告プロセス:「2.確認」画面]

<データ項目一覧画面>



[雛形ダウンロード (無料)]
<類似プロセス>
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