業務:校閲・校正

記事の校閲に「他のライター」も参加させる業務フローに変えた。(第571話:プロセス改善物語(Webメディア編1)、参照)

「誤字・脱字」や「名称まちがい・日付まちがい」といった『ミスの修正指摘』もさることながら、、、「起承転結についての意見」や「見出しやタイトルについての対案」といった『スキルアップにも通じるコメント』が、ライター同士で行われるようになった。

「編集者」は校閲やライター指導に費やしていた時間が減り、「新しい特集」について考えたり、「勉強会」を開催したりする時間が持てるようになった。

ちなみにその「勉強会」では、現実に発生した校正例が報告される。たとえば、「決済日」はお客さんが入金した日で「決裁日」は上司が判断した日ですねーとか、、、"過去" を償うことが「補償」で "未来" を約束することが「保証」で "砦" (障壁/障子)を築いて守り続けることが「保障」ですねー、国家や保険会社による安全保障・社会保障・生活保障といったケースでしか使われませんねー、、、といったディスカッションが行われている。地道なスキルアップこそ「生産性向上」だ。

課題:長時間の滞留

しかし「ライター」からすれば、他人記事の校閲という業務が増えたことよりも、差し戻し修正しなければならないタイミングも増えたことが問題だったりする。

特に新人ライターの場合、複数の記事が同時に『2x.記事修正』の工程に舞い戻ってくる、といったケースも発生してしまうようになった。そして、そういったケースには「他のライターが書いた記事を校閲する時間」が取れなくなるという事態になる。。。

うーむ、『3.一次校閲』には締切日時を設定し、その締切日時をもって強制的に次工程に進捗させる、、、つまり滞留を許さない、ようにした方が良いと思うに至った。

[記事の校閲フロー-打ち切り有り]

業務:サイト記事の作成

いくつかのWebメディア発行会社では「記事の校閲」が実践されているようだ。

それは「医療サイト」や「ファッションサイト」といった商業ベースの『まとめ系サイト』(キュレーションサイト)に限らず、自社事業関連情報を発信する『オウンドメディア』でも、記事の「信頼性」高める努力が払われているらしい。

ウチでも、
  • 「編集長」が季節連載などの企画を立ち上げ
  • 「編集者」が個別記事の仮タイトルを決め、
  • 「ライター」が記事を執筆し
  • 「編集者」がチェックし、
  • 「Webデザイナ」が記事や写真を掲載する
という流れ(ワークフロー)の中で「編集者」が「記事の校閲っぽいこと」をしてはいる。しかし「全ての発信情報に間違いはない」と断言できる体制ではない。

課題:一次草稿の品質

色々と議論はあったが、まずは「ライターさんのスキルアップ」を考えることにした。特に編集者から何度も「差し戻し」を食らっているライターさんを何とかしてあげたい。

スキルアップの方法はイロイロと考えられるが、ウチでは「ライター自身も他のライターが書いた記事を校閲する」という方針を立ててみた。やや荒療治ではあるが、「人の振り見て我が振り直せ」とでも言えば良いのだろうか、、、いずれにせよ、日ごろから他のライターが書いた記事を見ることで自分自身の反省すべき点に気づいてもらう、という作戦だ。

副次効果的そして中長期的に「編集者」が感じている校閲の負担感も下がると思う。

[記事の校閲フロー]



業務:マルチタスク正社員への情報共有

「深夜のフロント業務」、「朝のチェックアウト対応」、そして「チェックアウトされた客室の清掃」。。。

ワークフローで社内情報を可視化することで、正社員が様々な業務を「掛け持ち」できるようになってきた(マルチタスクオペレーション)。すなわち、夜勤担当からチェックアウト担当に「宿泊客からクレーム苦情を頂いた」という情報が共有され、またチェックアウト担当から客室清掃担当に対して「宿泊客がチェックアウトした」という情報がスムーズに共有される。


結果、パートやアルバイトへの依存度が高かった「夜勤フロント」や「客室清掃」にも、かなり正社員が参加できるようになった。そして同時に、(想定外の展開として)、パートやアルバイトが「正社員として働ける道が開けてきた」という現象も現れてきた。

<正社員の勤務シフト例>
  • 早番(7時間労働、8時間拘束)
  • 遅番(7時間労働、8時間拘束)
  • 夜勤(12時間労働、13時間拘束:2日勤務相当)

課題:なおも発生する手待ち時間

しかし、特に深夜時間帯においては、どうしても「手待ち時間」(てまちじかん)が発生する。

正社員が「夜勤」にも積極参加するなら、深夜帯においても「何か生産的な業務」を引き受けられるようにしたい。そこで、BPM コンサルタントとも相談し、今度は「スタッフブログの発信」に挑戦することにした。(期待する「マルチスキル度」高すぎ?、という不安もある)

ちなみに、ホテル館内の「見回り業務」をもっと念入りに行えばよい、という意見もあった。だが「不必要なまでの丁寧さ」を追及することは「生産性向上」とは言えない。すでに行われている「定時見回り」で、安全面は十分担保されていると思う。

[ブログ執筆投稿フロー]

業務:チェックアウト業務と清掃業務の関係

お客様(宿泊客)が「チェックアウトした」という情報をリアルタイム確認できるようにした。

スタッフは、いつでもスマホ・タブレットで「チェックアウトされた部屋」を確認できるので、手の空いた人は正社員でも「客室清掃のシゴト」を引き受けることができるようになった。(第568話:プロセス改善物語(ホテル編1)、参照)

他のお客様に配慮しつつも「チェックアウトされた部屋」から順次清掃できるようになったので、10時から15時に見られた「清掃タイムトライアル」は無くなり、またレイト・チェックアウトの方や滞在中の方との「ハチアワセ事故」も無くなった。

「チェックアウト工程」から「客室清掃工程」への、ワークフロー、、、「進捗の可視化」って、ホント大事。

課題:夜勤担当からの情報共有

が、しかし、一方でフロント担当は「チェックアウト完了という情報をワークフローシステムにインプットする」という手間が増えた。

たしかに「順次、清掃に着手できる」の意味は分かる。また、自動精算機のおかげもあってチェックアウト時には「部屋のカギを受け取る」くらいしかヤルコトがない。つまり、そのインプット自体が大きな手間だとも思わない。。。が、単純作業というか何と言うか、、、もう少し「ワークフロー」を有効活用できないモノか?

たとえば、フロント担当自身も、何か情報を受け取れないものか?

そこで、、、BPMコンサルタントとも相談しつつ、夜勤担当に「苦情記録」を入力してもらうこととした。つまり「ホテル側のサービスに不手際があった」や「他の部屋に対する騒音クレームを連絡して頂いた」といった夜勤担当からの情報もワークフローに乗せてもらうのだ。そうすれば、フロント担当の「部屋のカギを受け取る」という業務も、マゴコロこめて対応できるようになるかもしれない。。。

[客室清掃業務フロー-苦情記録]

業務:ホテル業務、モロモロ

「生産性革命」の流れは、ホテル業界にも。。。

つまるところ「分業制」は、もはや限界と考えるべきなのだろう。「客室清掃業務」「出迎え業務・見送り業務」「夕食サポート・朝食サポート」「ブログ発信」「売上集計」などなど、、、一つの仕事ができればイイなんて時代は終わった。労働者は、ある程度「マルチなスキル」を持たなければならないのだ。

たしかに同じ24時間営業のコンビニ業界では、アルバイトさんでも「レジ業務」「棚卸業務」「清掃業務」と数多くの業務を担当している。かの「星野リゾート」さんも、もう随分前から「マルチタスク」で回しているらしいし。。。

(政府統計でも「日本の宿泊業の労働生産性は他産業と比較して低い」と明記されてしまうくらいだから、ホント何とかしなければならんのだろう。)

観光産業における人材育成をはじめとした 課題と今後の対応について (2017-02-10)
星野リゾートの取り組み (2014-11-19)

課題:清掃時間の固定化

BPMコンサルタントにも相談し、まずは全正社員で「客室清掃業務のスキル」を持とう、という事になった。

たしかに、清掃はパートさんにマルナゲの状態で、「10時のチェックアウトから15時のチェックインまでしか働けない」とか「スキルアップして正社員にという道もあまりない」といった労働環境については、何となく問題だなぁと思っていた。しかも、その時間帯の正社員たちは、実は結構ヒマだったりする。。。

もし「チェックアウトされた部屋」から順に清掃できれば、正社員だけでもカバーできると思う。

[客室清掃業務フロー]