第568話:プロセス改善物語(ホテル編1)

2018年1月1日

業務:ホテル業務、モロモロ

「生産性革命」の流れは、ホテル業界にも。。。

つまるところ「分業制」は、もはや限界と考えるべきなのだろう。「客室清掃業務」「出迎え業務・見送り業務」「夕食サポート・朝食サポート」「ブログ発信」「売上集計」などなど、、、一つの仕事ができればイイなんて時代は終わった。労働者は、ある程度「マルチなスキル」を持たなければならないのだ。

たしかに同じ24時間営業のコンビニ業界では、アルバイトさんでも「レジ業務」「棚卸業務」「清掃業務」と数多くの業務を担当している。かの「星野リゾート」さんも、もう随分前から「マルチタスク」で回しているらしいし。。。

(政府統計でも「日本の宿泊業の労働生産性は他産業と比較して低い」と明記されてしまうくらいだから、ホント何とかしなければならんのだろう。)

観光産業における人材育成をはじめとした 課題と今後の対応について (2017-02-10)
星野リゾートの取り組み (2014-11-19)

課題:清掃時間の固定化

BPMコンサルタントにも相談し、まずは全正社員で「客室清掃業務のスキル」を持とう、という事になった。

たしかに、清掃はパートさんにマルナゲの状態で、「10時のチェックアウトから15時のチェックインまでしか働けない」とか「スキルアップして正社員にという道もあまりない」といった労働環境については、何となく問題だなぁと思っていた。しかも、その時間帯の正社員たちは、実は結構ヒマだったりする。。。

もし「チェックアウトされた部屋」から順に清掃できれば、正社員だけでもカバーできると思う。

[客室清掃業務フロー]



解決:引き受け待ちシゴトの可視化

自動車業界における『多能工』や、小売業における『マルチスキル』など、複数の業務オペレーションを「掛け持ち」する例は珍しくありません。

ただ、シゴトを引き受ける労働者の視点に立てば、「今どの様なシゴトが発生しているのか?」を知ることができなければ、たとえ「手待ち時間」(てまちじかん)が発生したとしても何のシゴトも引き受けらません。

このワークフローでは、「清掃工程の引受候補者」(掛け持ち担当)として登録されている社員は、スマホやタブレットでいつでも「チェックアウトが完了した部屋(清掃に取り掛かることができる部屋)」を「確認」でき、そして自ら「引き受ける」ことが可能です。

これは、たとえば料理のみを行っていた調理担当の『単能工社員』が、清掃業務をも担当する『多能工社員』になることを意味します。(マルチタスクオペレーション)

考察:業務フローの可視化、発生業務の可視化

マルチタスクオペレーションは、労働生産性を高めるためには避けて通れません。

たとえばもし、パートタイム労働者の比率を下げて、
  • 早番(7時間労働、8時間拘束)
  • 遅番(7時間労働、8時間拘束)
  • 夜勤(12時間労働、13時間拘束:2日勤務相当)
といった「正社員による24時間営業」を推進しようと考えるなら、昼間や深夜に発生しがちな「手待ち時間」にも、付加価値のあるシゴトが引き受けられるようにする必要があると言えます。(発生中案件の可視化)

結果、ホテル業におけるサービス全体を理解できる社員が増え、不測の欠勤や離職者の発生といった事態にもスムーズに対応できるようになるでしょう。あるいはまた「△△号室の◇◇様には客室清掃時に不快な思いをおかけしたので、御見送り時に配慮が必要」といった情報共有にも繋がるかも知れません。

[客室清掃業務フロー:「1.チェックアウト完了」画面]

<データ設定画面>

<データ項目一覧画面>


[雛形ダウンロード (無料)]
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