業務の流れを定義する際、「業務プロセスの【S:始点】と【E:終点】を何に設定するか」は、センスが問われる。

例えば『問合対応フロー』であれば、「s:問い合わせの受信」に始まり「e:回答の送信」に終わる。
例えば『請求書発行フロー』であれば、「s:請求データの入力」に始まり「e:入金確認」に終わるだろう。
・・・これらのワークフロー設定に異論は少ない。

しかし仮に、『s:引合対応』から『見積受注』や『製造』などを経て『e:請求入金確認』に至る様な、、、長い工程を「一つの業務プロセス」として定義したとすれば、それには大きな反論があるだろう。何と言っても、フロー図が複雑になり、その作業工程が見づらくなる。更には「業務データ」の項目数も必然的に多くなり、処理に必要なデータが見づらくなってしまう。


最も簡単な解決策は、≪(A)フェーズに分割して管理≫する手法だ。

一連の業務を「東京から大阪までの新幹線」に喩えれば、「(1)東京から名古屋」と「(2)名古屋から京都」と「(3)京都から大阪」に3分割して管理する方法だ。つまり、(1)~(3)それぞれのフェーズで重要な手順を、各設計責任者が定義する。『建築工事』や『研究論文作成』など、プロジェクト自体が長期に及ぶ業務を想像すればイメージしやすい。関与する人間(管掌する部門)が変わるポイントでフェーズ分割するのが王道だろう。

もう一つの解決策は、抽象化して≪(B)単純サイクルに分割して管理≫する方法だ。

「東京から大阪までの新幹線」で言えば、これを「発車から停車」と言うシンプルな業務プロセスの繰り返しと捉える。極めて汎用性が高くなり、また業務手順を詳細に記録できるようになる。同時に(一般論ながら)「全体」を俯瞰しづらくなる。

[発車から停車までの業務プロセス]

「よし、Google Apps の導入は完了した!」
「さて、Google Apps アカウントでログインできるワークフローを検証してみたい!」

近年、法人向け業務システムは確実に「クラウド・コンピューティング化」している。
平たく言えば『使った分だけ料金を払う仕組み』に移行しているのだ。ITも、水道、ガス、電気と同じ歴史を歩んでいる。特筆すべきは SaaS 製品の普及と多様化だ。ソフト購入の手間やバージョンアップの手間を大幅に削減した。実に便利な世の中になったものだ。

  • クラウド型グループウェア(メール+カレンダ+...)/オフィススイート(ワープロ+表計算+...): Google Apps、Microsoft Office 365、IBM SmarterCloud (旧 LotusLive)、、、
  • クラウド型顧客管理[CRM]: Salesforce、Microsoft Dynamics CRM、Synergy!、ZOHO CRM、、、
  • クラウド型経営資源計画[ERP]: SAP、Oracle、NetSuite、、、

「よし、ワークフローのテスト環境はできた!」
「さて、実際の業務データ(仕事)を流し、ワークフローを評価してみよう!」

良くあるテストとして、『無意味な業務フロー』に『無意味なテストデータ』を流す。しかし、それでは現実感(リアリティ)が湧かない。実のある評価が進まないのだ。たとえば「ココには注意書きが必要だな」など、実運用時に必要となる機能を試す機会を失ってしまう。

以下に紹介する業務テンプレート『目安箱フロー』は、(1)あまり存在しない業務フロー(業務重複にならないフロー)で、にもかかわらず、(2)リアリティが湧く業務フローで、ひょっとすると、(3)本運用の際にも稼働させ続けてもイイかもしれない、そんな業務フローだ。徳川吉宗(暴れん坊将軍)の『小石川養生所』や『町火消』の様に、新事業のヒントが上申されるかもしれない!!

[目安箱フロー]
「日常業務の手順」をキッチリ決めて、楽しく効率よく仕事を回す。
『稟議』『原稿作成』『クレーム対応』・・・、ワークフローシステムで仕事を流せば、手際よくそしてヌケモレ無く仕事を進められる。

一方で「非日常な業務の手順」をキッチリ決めておく事も、意外と重要だ。
特に、業務処理が自動的に記録される点が良い。いつ、どの様な書類で処理された(されている)のか、参照できるようになる。もし、過去のデータを簡単に再利用できるようになれば、後任者の業務効率は飛躍的に改善するだろう。

以下のワークフロー定義は『第三者割当増資』(資金調達)の事務手続きを定義している。
ベンチャー企業であれば、その発生頻度も少なくない。毎回「司法書士」に任せてしまうのも悪くないが、法務局の登記事務を含めて自分達で処理できれば毎回数万円の「司法書士報酬」を節約できる。さらに登記事務そのものに慣れれば、『新株予約権発行』の登記や、毎年の『役員重任』なども自分達で出来るようになるだろう!

[第三者割当増資の手続きフロー]

「契約書の郵送記録」って、意外と残ってナイ。
「いつ発送したのか」、「誰が発送したのか」、「同梱発送した内容物は何だったのか」
結構、大切な情報なのだが、案外ナイ。メールやFAXの通信記録なら、それなりに存在するのに。。。

以下は「契約書等」の郵送処理を行うのワークフローだ。秀逸なポイントは、特に重要な契約書の場合に、先方の手元に届いたかをきちんと電話確認すると言う工程だろう。「契約」と言う企業間にとって非常に大切なコミュニケーションが滞留するリスクを低減させている。さらに「送付状」の自動生成機能も秀逸だ。窓付封筒に入れれば、封筒に住所や相手先の名前を手書きする必要もなくなる。郵送事務コストを下げるばかりか、誤送ミスを未然に防ぐことができる。う~ん、かなりベンリだ。

[押印/郵送フロー-送付状生成]