最近の『ワークフローシステム』は、見積現場のニーズにも上手に応えている。
  • A. 「本社にいる上司」の "承認" が必要
  • B. 「顧客」に提出するための "紙" も必要

つまり単に「スマホ対応」しているだけでなく、いわゆる「帳票出力機能」を持つワークフローも多くなっているのだ。しかし、そんなワークフローシステムであっても、
  • X. 「セールスマン別」の集計もしたい
  • Y. 「顧客別」の集計をしたい
となれば更なる工夫が必要となるだろう。つまり、、、たとえば、顧客名の入力で「ゆらぎ」が多発してしまう様な現場であれば、スムーズな集計は望めなくなる。すなわち、次の3つの視点を事前考察しておかなければならないと言える。
  • o. 「見積書」の Group 管理
  • x. 「セールスマン」の ID 管理および Group 管理
  • y. 「顧客」の ID 管理および Group 管理

以下のワークフローは、顧客名の入力に「取引先マスター連動フォーム」を利用する。(検索コンボボックス)

[見積書作成業務]
仕入元の「名称」(商号)が変わる。良くある話だ。

得意先の「優先度」を変える。これも良くある話だ。

以下は「取引先マスター」を一括してメンテナンスする業務フローだ。営業事務チームによって、定例の「月次見直し」と、随時任意の「臨時見直し」が行われる。

この特別なワークフローで「取引先マスター」を更新すると、ワークフロー基盤上の多くワークフローで表示される『顧客の一覧』(選択肢プルダウン・コンボボックスのリストなど)を一斉に切り替えることができる。言い換えれば、「見積書承認フロー」「請求プロセス」「修理依頼対応プロセス」など、それぞれの業務プロセスを設計運用している各プロセスオーナーは、『顧客の一覧』のデータについて、メンテナンスする必要がない。

※ 取引先マスターへの「個別追加」については前回記事を参考されたい

[取引先マスターのメンテナンス業務]

ワークフロー基盤が『顧客マスター』を持っていれば、色々と都合が良い。

もし「自由なテキストフォーム」で入力させていると、
  • 「NTT」だったり、「日本電信電話株式会社」だったり
  • 「NTT西日本」だったり、「西日本電信電話株式会社」だったり
  • 「NTTデータ」だったり、「エヌ・ティ・ティ・データ」だったり
  • 「NTTドコモ」は、「NTTドコモ」のままで良かったのに…

そして「株式会社」が、前株だったり後株だったり、、、(そもそも)、あったりなかったり。。。 ナンにせよ法人名の入力が発散して仕方ない。。。俗に『名寄せ』ど呼ばれる作業は「非常に不毛な作業」と言わざるをえない。


以下のワークフローは「取引口座開設業務」だ。

一見すると前回記事(与信管理フロー)とほぼ同じフローだが、、、新しく取引先を登録する際に『顧客マスター』(Business-Connections.xml)が自動的に更新される仕組みとなっている。

この『顧客マスター』は、他の業務フローから、「プルダウンメニュー選択」や「テキスト入力中にリストが絞られるコンボボックス」として呼び出せる。つまり「見積書承認フロー」「請求プロセス」「問合対応プロセス」において、入力される法人名は、必ず『顧客マスター』から選択され、常に「正式な社名」が入力されるようになるのだ。

[取引口座開設業務]
「商品と現金は同時に交換される」、、、とは限らない。 むしろ企業間取引においては「同時に交換されない」の方が一般的だ。つまるところ、企業間取引においては、、、

どちらかが相手方を『信用』する必要がある。
  1. 商品と請求書を渡し、翌月末までに送金してもらう (売掛金)
  2. 現金を振り込み、後日商品を配送してもらう (前払金)
そこで多くの企業は、全ての取引相手に対して『信用限度額』を設定する。初めて設定する際の手続きを特に「取引口座開設の手続き」と言う場合もある。 (ちなみに、どちらが『信用』を与える側(与信者)になるかは、「商品が先」か「現金が先」かによって決まる。ドラマや映画で目にする「身代金の受け渡しシーン」と同じ構造だ。)


以下のワークフローは、非常にシンプルな「与信管理」の業務フローだ。特定の取引先に対して『信用限度額』を設定する。具体的には、「相手方から直接もらった財務書類」や「信用調査会社からの情報」、あるいは「これまでの取引実績」や「事業戦略上の優先度」などの情報から上司が判断し、最終的には CFO が決裁する。(そして日々の「売掛金」は、そこで設定された限度額の中で総額コントロールされる)

このワークフロー定義の注目すべきは、2015年10月に日本政府が運用を始める「法人番号」(マイナンバー法)を活用している点だ。「名寄せの失敗」(限度額の多重設定)を防ぐことができる。

[与信管理フロー]