法人番号を使った取引先マスターの管理

2015年9月7日
「商品と現金は同時に交換される」、、、とは限らない。 むしろ企業間取引においては「同時に交換されない」の方が一般的だ。つまるところ、企業間取引においては、、、

どちらかが相手方を『信用』する必要がある。
  1. 商品と請求書を渡し、翌月末までに送金してもらう (売掛金)
  2. 現金を振り込み、後日商品を配送してもらう (前払金)
そこで多くの企業は、全ての取引相手に対して『信用限度額』を設定する。初めて設定する際の手続きを特に「取引口座開設の手続き」と言う場合もある。 (ちなみに、どちらが『信用』を与える側(与信者)になるかは、「商品が先」か「現金が先」かによって決まる。ドラマや映画で目にする「身代金の受け渡しシーン」と同じ構造だ。)


以下のワークフローは、非常にシンプルな「与信管理」の業務フローだ。特定の取引先に対して『信用限度額』を設定する。具体的には、「相手方から直接もらった財務書類」や「信用調査会社からの情報」、あるいは「これまでの取引実績」や「事業戦略上の優先度」などの情報から上司が判断し、最終的には CFO が決裁する。(そして日々の「売掛金」は、そこで設定された限度額の中で総額コントロールされる)

このワークフロー定義の注目すべきは、2015年10月に日本政府が運用を始める「法人番号」(マイナンバー法)を活用している点だ。「名寄せの失敗」(限度額の多重設定)を防ぐことができる。

[与信管理フロー]

日本においても、取引先企業の ID 管理は意外と難しい。

大きな企業であれば、信用調査会社が付番した『企業コード』を使うケースが多く見られる。つまり「帝国データバンク社」(TDB)や「東京商工リサーチ」(TSR)が付番した『TDB企業コード』『TSR企業コード』、そして海外企業に対しては「ダンアンドブラッドストリート」(D&B)が発行する『DUNS』を利用する。しかし、中小企業には運用コストに見合うだけの活用ができないのが実情だ。

そのような中、2015年10月、『法人番号』(13桁数字)が運用開始となる。

日本政府(国税庁)が運用する無料サービスで、法人の「正式名称」や「本店所在地」について日本政府がメンテナンスしてくれる仕組みだ。近い将来には「業種分類に関する情報」や「課税事業者の識別」などの情報サービスが民間企業から提供されることも予想される。


このワークフローを運用すると、「法人番号」をキーとして、「法人商号」「信用限度額」「決定日時」のデータが日々追加されていくようになる。閲覧権限を付与しておけば、営業部門はいつでも「最新の限度額」を確認できるようになるだろう。

なお「法人番号」を業務活用する際に大切なことは、(海外企業や組合など)「法人番号を持たない組織」の場合、何を入力すべきかという方針だ。このワークフローでは「URLで代用する」という方針となっている。(チェックディジットは NG 表示になる)。

Quote> 「13ケタの数字を入力してください。取引先のホームページ、メールシグニチャ、あるいは法人番号公表サイト等で確認してください。(海外企業や組合など「法人番号」を持たない組織については www.example.com の書式で入力)」

他にも、「0はじまりの13桁番号を自社オリジナルに割り当てていく」「13桁+URL をキーとし、持たない組織は 9999999999999#www.example.com のように入力する」といった方針などが想定される。各社の取引先リスト(例外の発生割合)にあわせて、それぞれ柔軟に考察したいところだ。

[与信管理フロー:「1.取引先の登録」画面]

<データ項目一覧画面>


[雛形ダウンロード (無料)]
<類似プロセス>
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[英文記事(English Entry)]

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