第570話:プロセス改善物語(ホテル編3)

2018年1月15日


業務:マルチタスク正社員への情報共有

「深夜のフロント業務」、「朝のチェックアウト対応」、そして「チェックアウトされた客室の清掃」。。。

ワークフローで社内情報を可視化することで、正社員が様々な業務を「掛け持ち」できるようになってきた(マルチタスクオペレーション)。すなわち、夜勤担当からチェックアウト担当に「宿泊客からクレーム苦情を頂いた」という情報が共有され、またチェックアウト担当から客室清掃担当に対して「宿泊客がチェックアウトした」という情報がスムーズに共有される。


結果、パートやアルバイトへの依存度が高かった「夜勤フロント」や「客室清掃」にも、かなり正社員が参加できるようになった。そして同時に、(想定外の展開として)、パートやアルバイトが「正社員として働ける道が開けてきた」という現象も現れてきた。

<正社員の勤務シフト例>
  • 早番(7時間労働、8時間拘束)
  • 遅番(7時間労働、8時間拘束)
  • 夜勤(12時間労働、13時間拘束:2日勤務相当)

課題:なおも発生する手待ち時間

しかし、特に深夜時間帯においては、どうしても「手待ち時間」(てまちじかん)が発生する。

正社員が「夜勤」にも積極参加するなら、深夜帯においても「何か生産的な業務」を引き受けられるようにしたい。そこで、BPM コンサルタントとも相談し、今度は「スタッフブログの発信」に挑戦することにした。(期待する「マルチスキル度」高すぎ?、という不安もある)

ちなみに、ホテル館内の「見回り業務」をもっと念入りに行えばよい、という意見もあった。だが「不必要なまでの丁寧さ」を追及することは「生産性向上」とは言えない。すでに行われている「定時見回り」で、安全面は十分担保されていると思う。

[ブログ執筆投稿フロー]

解決:社員によるブログ原稿の執筆

インターネットの普及により「企業と消費者が直接つながる」というのは珍しくなくなりました。

特に、接客を伴うサービス業(宿泊業・飲食業・交通機関など)では、広告代理店や大手メディアに頼った「繰り返しアピール」よりも、ブログやSNSによる「きめ細かな情報発信」の方が、むしろ「消費者の口コミ」や「消費者の安心」につながるコンテンツなのかも知れません。
  • ホテル・エントランスの模様替えの様子
  • ホテル内店舗の臨時営業時間情報
  • ホテル周辺観光地の様子(行事や催し物など)
  • 詳細なホテル設備のレポート(浴場やランドリーなど)
ブログ発信業務は、単に顧客満足を高めるだけでなく、スタッフ自身が「どの様な発信がお客様(宿泊客)から『いいね』をもらえるのか」を考えることにもつながります。すなわち「接客のプロとしての意識」や「コミュニケーション能力」を高める業務と言っても良いでしょう。

考察:部署の垣根を超える

「情報発信はマーケティングチームの仕事」と決めつけると「マルチなスキル」は進みません。

しかしながら一方で「ブログ投稿のスキル全て」を身につけさせることも容易ではありません。ブログシステムのセキュリティ上の問題もあります。

そこでこのワークフローでは、実際のブログシステムへ投稿作業は「マーケティング担当」によってのみ行われる流れになっています。つまり、「社員」の業務としては、原稿や写真をワークフローに流すだけです。そして「マーケティング担当」が、誤字脱字の校正を行ったり、写真画像の編集を行ったり、あるいはホテルとしての情報発信ポリシーに照らし原稿破棄の判断を行ったりする、という仕組みとなっています。

[ブログ執筆投稿フロー:「1.草稿執筆」画面]

<データ項目一覧画面>


[雛形ダウンロード (無料)]
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