第513話:掲載記事の品質を担保する業務プロセス

2016年12月12日

「現場の業務プロセスが見えない」?


2016年秋、日本では『キュレーション・メディア』による「パクり行為」が大きく報道されている。

そもそも「情報を整理する行為」は価値のある作業であり、誰でも整理記事を投稿できる「情報共有サイト」(キュレーション・プラットフォーム)も価値ある存在と言える。しかし、サイト運営会社(東証一部上場企業)自身がクラウドソーシングを通じて記事を量産し、そのアウトソースの中で「パクり」をマニュアル化していた実態が明るみになったのだ。

キュレーション記事の制作プロセス

たしかに、
"当社は、この記事の情報及びこの情報を用いて行う利用者の判断について、正確性、完全性、有益性、特定目的への適合性、その他一切について責任を負うものではありません。"
という免責注記はあった。しかし、当のサイトが「健康や命に関わる記事」を集める情報共有サイトであったため、「著作権侵害」というよりもむしろ「モラル」が問われた形だ。そして、結果としてCEOが「記事制作のプロセスに問題がある」と謝罪する状況になったのだ。

DeNAプレス:CEOからのお詫びとご説明
"他サイトからの文言の転用を推奨していると捉えられかねない点がございました。この点について、私自身、モラルに反していないという考えを持つことができませんでした。(中略)。自分自身として心の底から自信の持てるプロセスを構築していくことを約束します。"

真実かどうかは知る由もないが、おそらくは「本当に業務プロセスが見えていなかった」のだろう。(と信じたい)。では、運営会社が責任をもって記事を書く必要がある場合、どのような業務プロセスを構築すれば良かったのだろうか?

[記事作成プロセス]

掲載記事の品質担保

色々と考察してみたが、やはり「新聞記事の作成業務」と同じようなフローにせざるをえないように思う。つまり『掲載判定』の工程で人間が品質をチェックする方式だ。新聞社の編集部では「デスク」(編集デスク)が、記者の書いた記事全てをチェックしている。

※ 1.テーマ設定、2.記事作成、3.掲載判定、(4.監修対応)、5.Web掲載

この例では、複数人の編集デスクによる『3.掲載判定』の工程で掲載可否が素早く判断され、もし、誤植が多い場合などには差し戻され、著しく品質が低い場合には破棄される。また医学的見地等からの監修が必要な場合には「4.監修対応」の工程に回されることになる。(近い将来には AI が作文した記事が回ってくるかもしれない)

なお、毎日100件程度のアウトプットが必要なのであれば、(各担当との契約形態に大きく依存するのだろうが)、「ライター」は50人程度、「編集デスク」は5人程度、「監修担当」は10人程度といった体制規模になるだろう。また、速報性が重視されるなら「24時間シフト」も検討しなければならない。編集部の部長は「編集デスク」の1人として業務参加するのが良い。(重要そうな案件だけ引き受けるという運用も良い)

事業性とのカケヒキ

ちなみに、(『現場』は忘れがちなのだが)、業務プロセスには「予算」という制約がある。

つまり、現場が考えた業務プロセス(プロセスモデル)で「想定される広告収益からライター原稿料や監修謝礼が捻出できるのか」といったビジネス視点からの検証が必要になってくる。それは、いわゆる「独立系メディア」であれば当然だが、企業オカカエの「オウンドメディア」でも同じことだ。

もっと言えば「競合サイトとの差別化はどうするのか」「掲載情報の陳腐化に対応するのか」といった視点で、他の業務プロセス(プロセスモデル)も必要になってくるかもしれない。

いずれにせよ、『現場担当者』が作る「プロセスモデル」が、『経営者』たちが言う「ビジネスモデル」に合致しないケースは少なくない。まさに「試行錯誤」するしかない。


[記事作成プロセス:「1.テーマ設定」画面]


▼ブラウザ側にも『文字数カウンタ』を実装してみた例(HTML/JavaScript)
<span id="myCounter">0</span>
<script type="text/javascript">
jQuery('textarea[name="data[0].input"]').bind('keyup change',function(){
  var myTextLength = jQuery(this).val().length;
  jQuery('#myCounter').html( myTextLength );
});
</script>


<Addon-XML 設定画面>

<データ項目一覧画面>


[雛形ダウンロード (無料)]
<類似プロセス>
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