「取締役会議事録を電子化する」と言う ≪大変革≫ の意義

2014年4月7日
【会社の意思】は取締役会で決まる。

多くの場合、「議論の深まり」の中で決まっていく。と言うか、典型的なパターンは社長が取締役達を説得し、「あーだ、こーだ」と事前のヤリトリがあった後、取締役会の場で決まる。当然ながら【取締役会議事録】には、『慎重審議の結果、提案は全員異議なく可決』とのみ記録される。込み入ったヤリトリや各取締役の当初意見などは、公式記録に残らない。

しかし【最も大切な情報】は、決まるまでの「過程」だ。
未来の取締役達が読みたくなる情報は、決まるまでの「過程」だ。

以下のワークフローは、各取締役が独立して意見を記録できるシステムだ。まず『-2.反対』『-1.どちらかと言えば反対』『0.分からない/判断保留』『+1.どちらかと言えば賛成』『+2.賛成』を選び、その上で、自分の意見を自由に記録する。とかく形式主義に陥りやすい『議事録』とは別に運用される。つまり、会議の前に意見や考えを表明しておくため、あるいは会議の後に議論後の意見や議論感想を記録しておくために活用される。単なる「電子採決システム」とは違う。

[事案に対する意見表明フロー]

[事案に対する意見表明フロー:「2b.投票&意見(打刻)」画面]

[データ項目一覧画面]


例えば 「TPP参加」 や 「郵政民営化」 を例示するまでも無い話だが、国会議員達の主張ですらその意見が変わって行く。その背後にある「世論」自体も議論の最中ですら変わって行くし、「時代の潮流」だって変化するものだ。「原発の是非」 に至っては劇的に変わった。

ただ、後から振り返った時、その瞬間その瞬間の組織意思が、「どの程度の賛同」を得て決められたことなのか? は非常に重要な情報になる。もっと言えば、「どの様な反対意見があったのか?」、「最後まで議論されたリスクとは何か?」などの情報は何物にも代えがたい資産になるだろう。(形式主義的な議事録とは比べ物にならない)

話がやや脱線するが、「司法の場」でも意見が割れる事がある。

日本のIT業界にあって忘れられない事実に、ファイル共有ソフト 『Winny』 にまつわる裁判(著作権侵害行為の幇助)がある。2004年にソフト製作者が逮捕された後、2011年の最高裁判決まで、様々な議論が行われた訳だが、「1審有罪」、「2審無罪」、「最高裁の判決は4対1での無罪」と言う結果になった。良く考えれば、この例は国家権力による判断が変わっていった事例と言えなくはない。

ちなみに、≪法務局提出用の議事録≫ と言う存在は、形式主義を助長しかねないと言う点で邪悪だ。誰だって、そこに「内容のある議論」(込み入ったヤリトリ)を書き込みたくない。あるいはまた、≪紙としての議事録≫ も若干ながら形式主義を助長しているような気がする。すなわち、作成や保管の過程で事務職員の目に触れる可能性が高く、「事業戦略がライバル他社に漏洩するかも?」や「人事方針がウワサとなって社内派閥闘争を招くかも?」などの不安がよぎる。それでいて肝心の取締役達の閲覧機会は少ない。

自由な意見表明環境を構築し、閲覧できる人はいつでも閲覧できる様にする。その為の秘密主義ならば、肯定されるべきなのだろう。


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