稟議書ワークフロー、「代理決裁」の書き方

2013年2月12日
稟議書とは回覧書類のことだ。
日本人社会人なら誰でも知っている。会議による意思決定の記録として「議事録」が作成されるのに対して、回覧による意思決定の記録である「稟議書」が関係者に回付され全員の承認押印と決裁者の決裁押印をもって完成する。そして、この両方の書類が長期保管される。

稟議は「印鑑を多用する日本」ならでは制度だ。
日本以外の国には無いにもかかわらず、未だに日本のほぼ全ての会社に存在する。何と言うか、、、「メートル法」を使わず、「尺貫法」(19世紀に使われていた日本の単位系)にこだわっている様なモノだが、当分なくなりそうにない。決裁権者が決裁する前に多数の関係者を関与させるアタリが、実に日本人の民族性にマッチしているのだろう。
今日、ワークフロー・システムを導入し、オンライン化/電子化してもなお、「印影ポイものを表示したい」や「紙とソックリな見た目で回したい」と言う要望は強い。(集計一覧やデータ加工の観点で言えば、ナンセンス極まりないのだが…)

以下のワークフロー例は、「稟議書が大量に滞留しない仕組み」が組み込まれた稟議フローだ。月間100枚~200枚の稟議書類を承認しなければならない管理職を助ける。。。(?!)

[稟議フロー(代理決裁)]



クラウド型ワークフロー『Questetra BPM Suite』のユーザにも、「稟議フロー」を稼働させている日本企業は多い。そして「マイタスクが大量に溜まってしまう。どうにかしたい」と言う問い合わせも少なくない。

この例では、大量に発生する決裁行為を、『3.部長決裁』と『3b.部長代理決裁』のいずれかで処理する仕組みになっている。すなわち部長不在時等に、部長代理権限のある誰か(部長代理ロール者)が「決裁業務」を引き取って「代理決裁」する。以下のシンプルな部長代理決裁の無い決裁フローと比較すると分かりやすい。(ちなみにこの例においては、部長代理は「50万円以下の案件」しか処理できない)

[稟議フロー]

ワークフローエンジン(BPMエンジン)内部の挙動を言えば、分流ポイントに到達したプロセストークンは、50万円以下の場合に分割され、『3.部長決裁』と『3b.部長代理決裁』の同時処理になる。そして、どちらかが処理した時点で相手方のプロセストークンが消滅する仕組みだ。

ところで、、、一人の人間が「月間に100枚も200枚も書類を見なければならないルール」は、やはりそもそもナンセンスな話だ。例えば「部下が100人居るから、全て承認しなければならない」と言う考えは、一見正しい様でやはり間違っている。この業務フロー図についても抜本的な見直しを考えるべきで、例えば『直属の上司』が最終決裁者になるフローを追加すべきだろう。(社内規程の見直しにつながるなる可能性もある)

ちなみに「紙の稟議書なら100枚くらいさばけたのに…」と反論する上司もいる。それは、ある意味正しい。パソコンのモニタに出力される情報量は、紙の束には勝てない。
その場合は、週に一度「3b.部長代理決裁に滞留している仕事の一覧」を印刷して渡してあげるのが良いかもしれない。「この一覧にある案件、ぜーんぶ『代理決裁』してイイですか?」と言うノリで。。。
 一覧のチラミで問題の無い案件は、すべて『3b.部長代理決裁』にて処理し、要チェックな案件だけ『3.部長決裁』で処理してもらえば良い。『3b.部長代理決裁』にて処理した案件は、プロセス全体が終了となり、『3.部長決裁』のマイタスクから消えていく。

ところで、、、本当にどうでも良い話だが、「稟議」の翻訳は大変だ。
Questetra も、どうしても翻訳しなければならないシーンに出くわす。英語であれば「Decision Making」(意思の決定の仕組み)と書いてみたり、「Authorization Process」(承認の流れ)と書いてみたりする。しかし、どうもシックリこない。当然ながら、Wikipedeia にも「稟議書」の解説ページがある。しかしながら、日本語記事があるだけで「多言語へのリンクはゼロ」と言う極めて珍しいページになっている。今日現在、220以上ある言語のいずれにも訳されていない。(どうでもイイ)

[稟議フロー(代理決裁):「3. 部長決裁」画面]

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