第559話:経費精算クラウドを使わない理由(1)

2017年10月30日

業務:経費の申請と精算

いわゆる『経費精算クラウド』は、システム導入がラクだ。

経費(立替金)の精算業務に特化したシステムなので、申請画面も、管理画面も、最初から経費精算業務向けになっている。初期設定についてアレコレ深く悩む必要はない。


一方『ワークフロー・クラウド』でも「経費申請」のシステム化は可能だ。

ただ、ワークフローシステムは汎用システムなので、申請項目を考えたり、上司承認・会計記帳・経理振込といった業務手順を考えたりと、意外と手間だったりする。。。


もっとも、、、実際に申請を行う社員の視点で言えば、『経費精算クラウド』でも『ワークフロー・クラウド』でも同じだ。「特化システム vs 汎用システム、どちらが良いか?」については結局のところ、単に「組織の考え方次第」ということになるのだろうか?? いやぁ、20世紀末の「ワープロ専用機 vs パソコン」という論争を思い出す。。。(シャープの『書院シリーズ』が好きだった)

※ 当時は、ワープロ機能をROM化して組み込んであるワープロ専用機と、汎用的なパーソナルコンピュータで動作するワープロソフトが、よく比較された。

課題:提出遅れ

しかし問題は、、、経理部から「経費申請が出てない!」と怒られてしまうことだ。

たとえば展示会出展準備を頑張る担当者は、「稟議フロー」(事前申請)で決裁を取るところまでは頑張るのだが、展示会が終了し支出内容について「経費申請」するのは苦手なのだ。

担当者の[マイタスク]画面に、すでに「〇〇展示会への出展」という申請タスクが並んでいればなぁ。。。

経費申請の画面で、すでに「稟議書のID」や「稟議書の決裁概要」が自動的に入力されていればなぁ。。。

[経費精算フロー]



解決:稟議フローとの連携による自動開始

「稟議フロー」と「経費申請フロー」を接続しておけば、決裁稟議に対応する経費申請が自動的に開始されるようになります。

つまり、稟議フローで企画が決裁された瞬間に、担当者の[マイタスク]一覧に「〇〇展示会への出展」という経費申請タスクが並ぶことになります。申請者はワークフローにログインする度に「経費申請:〇〇展示会への出展」というタスクを目にすることになります。結果、申請忘れのリスクを大幅に低減できるでしょう。

なお、業務プロセス定義としては、事前稟議が不要な交通費等の申請は『1.申請する』のヒューマン工程から開始されるのに対して、稟議フローから連携された申請は『1r.申請する』のヒューマン工程から開始されることになります。どちらの申請画面も全く同じ入力フォームによって構成されます。ただし、自動開始された申請の「稟議書のID」や「稟議書の決裁概要」フォームには、あらかじめデータがセットされた状態になっています。(「締切日」も自動セットされるようにすれば、より一層、申請遅れの発生を減らすことができます)

考察:複雑なフロー分岐も

このサンプルフロー図では、5万円までは「課長決裁」、5万円を超えるものは「課長承認&部長決裁」、というルールが表現されています。

特に、組織構造上「課」が存在しない部であっても、同じプロセス定義で運用できるように工夫されている点は秀逸です。つまり「課」が存在しない部に所属する社員が申請した場合、 『2.課長決裁』の工程がスキップされることになります。(エラー境界イベント)


具体的には、「課長スイムレーン」の引受候補者として
  • スイムレーン『社員(自動)』のタスク処理ユーザと同じ組織のリーダで『課長ロール』を持つユーザ
  • スイムレーン『社員(手動)』のタスク処理ユーザと同じ組織のリーダで『課長ロール』を持つユーザ
  • スイムレーン『社員(自動)』のタスク処理ユーザの上位組織のリーダで『課長ロール』を持つユーザ
  • スイムレーン『社員(手動)』のタスク処理ユーザの上位組織のリーダで『課長ロール』を持つユーザ
といった設定を行い、「部長スイムレーン」の引受候補者として
  • スイムレーン『社員(自動)』のタスク処理ユーザと同じ組織のリーダで『部長ロール』を持つユーザ
  • スイムレーン『社員(手動)』のタスク処理ユーザと同じ組織のリーダで『部長ロール』を持つユーザ
  • スイムレーン『社員(自動)』のタスク処理ユーザの上位組織のリーダで『部長ロール』を持つユーザ
  • スイムレーン『社員(手動)』のタスク処理ユーザの上位組織のリーダで『部長ロール』を持つユーザ
といった設定を行います。そうすることで、『2.課長決裁』に進捗した際に「処理担当者設定に該当するユーザがいない場合」に該当し、自動的に[エラー境界イベント]に進捗するようになります。以上により「課」が存在しない間接部門などでも、同じ業務プロセス定義で申請フローを運用することが可能となります。


PS:
この設定例以外にも「課長スイムレーン」の引受候補者として
  • 組織『立替人所属組織』のリーダで『課長ロール』を持つユーザ
といった設定をすることで「処理担当者設定に該当するユーザがいない場合」というイベントを発生させることも可能です。[ロール設定]や[組織設定]に依存します。

[経費精算フロー:「1.申請する」画面]

<データ設定画面>

<エラー処理設定画面>

<データ項目一覧画面>


[雛形ダウンロード (無料)]
<類似プロセス>
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[英文記事 (English Entry) ]

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