第538話:日本語100文字の翻訳に必要な時間を分析したい

2017年6月5日

とある工程の作業時間を計測したい

たとえば翻訳工程における「翻訳に要した時間」を計測したい場合、「翻訳結果」とともに「実作業時間」を報告(入力)してもらう方式が考えられます。

しかし、その方式では、各翻訳者に
といった手段で実作業時間を計測してもらう必要があります。この「作業時間を自己計測して報告する」という行為は、大きな手間と言わざるを得ません。

※もっとも「離席休憩」や「割り込み作業対応」といった除外すべき時間が途中発生した際に、計測を一時停止させる等の柔軟な対応が出来るメリットもあります。

報告値の確からしさ

また、結果として「正確でない実作業時間」が報告されてしまう可能性もあります。

たとえば人事考課や能力査定などの面で、「翻訳時間」を短く見せる(長く見せる)ことに何らかのインセンティブが働く制度なのであれば、その「作業時間」は少しずつ事実とは異なる数値が入力されるでしょう。

あるいはまた、シゴトの成果そのものに誇りを持ち、「翻訳時間」などに全く興味を持たない作業者がいたとすれば、「イイカゲンなデータ」が入力されることを想定せざるを得ません。

[翻訳フロー]


翻訳作業中ステータス

この業務プロセス定義では、自動計測によって『翻訳工程の所要時間(数値型)』が入力されるようになっています。特筆すべき点は、『2.翻訳者指名』という工程があえて別設定されているところです。

つまり、業務プロセスの設計原則に照らせば、『3.翻訳作業』の工程だけで「引き受け待ち」「引き受け済」「作業開始」「作業完了」といったステータスをカバーすべきですが、この例では「翻訳開始時刻」と「翻訳終了時刻」が明示的に記録できるように、『2.翻訳者指名』という作業着手前工程を別途用意しています。(進捗モニタリング視点でいえば、まさに翻訳作業が行われている案件のみが『3.翻訳作業』の工程に存在することになります)

<自動的に格納される値>
※ 翻訳開始時刻:『2.翻訳者指名』の工程が完了した時刻
※ 翻訳終了時刻:『3.翻訳作業』の工程が完了した時刻


そして、具体的なオペレーションは、
  • 翻訳者は『2.翻訳者指名』の工程を引き受け、翻訳作業に着手まで『2.翻訳者指名』の工程に滞留させる
  • そして実際に翻訳作業を開始するタイミングで『2.翻訳者指名』の工程を完了させる(「翻訳者」に自身を選択)
といった流れになります。

<モデリング画面:時刻格納設定>

2つの時刻の差分

案件はその後、自動工程『経過分計算』に到達します。

そこで「翻訳開始時刻」と「翻訳終了時刻」から『翻訳工程の所要時間(数値型)』が自動的に計算されます。

この例では『原文文字数』も上流工程にて自動カウントされる仕組みとなっているので、翻訳案件が10件・100件と処理されれば、その案件実績から、おのずと『原文文字数』と『翻訳工程の所要時間』の相関も見えてくるでしょう。


なお、この自動工程は、
  • スクリプト工程: サーバサイド JavaScript で記述
  • サービス工程: あらかじめ『経過分計算』をアドオン
のどちらで実現(実装)しても構いません。が、この例では「アドオンされたサービス工程」が利用されています。

もし「時分表記にしたい」や「歩合計算も併せて行いたい」といったスクリプト拡張のニーズ・予定がないようであれば、メンテナンス性の観点からも「サービス工程(Addon)」の利用が推奨されると言えます。

[翻訳フロー:「4.翻訳完了確認」画面]

<データ項目一覧画面>


[雛形ダウンロード (無料)]
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