長時間労働の是正
日本政府では今、「働き過ぎによる健康被害」が活発に議論されています。この議論の盛り上がりは、大手広告代理店での「新入社員過労自殺」(2015年)がキッカケと言っても過言ではありません。そして、向こう1・2年の内には『どの様な雇用契約下であったとしても月平均の残業は最大60時間まで』といった新しいルールが追加されると予想されています。
労働時間が慢性的に月220時間を超えている企業や官公庁では、「業務プロセスの抜本的な見直し」や「みなし労働時間制の適用検討」など、様々な対応が必要となってくると言えます。
参考)日本の労働基準法
- 1週間について40時間を超えて労働させてはならない
- 1日について8時間を超えて労働させてはならない
暗黙の指示による学習も労働時間
確かに、純粋な心で「学習や経験のためにもっと働きたい!」(会社に居たい!)と考えるヒトが居るのも事実です。しかしながら今日では『業務に必要な学習』も労働時間と定義されてしまいます。『自己啓発』や『私的情報収集』という報告をさせることで労働時間を少なく見せかけるケースが後を絶たなかった現実を考えれば、これは「仕方のないガイドライン」と言えるかも知れません。
※ 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(厚生労働省:2017-01-20)
労働時間についてのチーム内での共通認識
労働時間とはそもそも『客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価される時間』と定義されます。しかし上述の様な状況をふまえて、「具体的に労働時間をどの様に計測すべきか」について、改めて各社各部署における共通認識を議論しておくことは、とても有効です。
たとえば、自宅での「資料作成」だけでなく「技術動向の学習」なども労働時間として計測されるべきでしょう。しかし一方で、最新のセキュリティ動向を確認することが求められるサーバ管理者が「ネット情報の確認」や「メルマガの購読」までも労働時間に加算して行けば、起きている時間全てが労働時間にもなりかねません。
[出退勤報告フロー]
オンライン申請
ここに紹介する「出退勤報告プロセス」は、労働者自身が「毎日の労働時間」を自己申告する仕組みです。基本的には出退勤時刻が『毎日』申請されることを前提として設計されています。すなわち自らが「勤務した」と判断すれば申請フォームに『出勤時刻』を記入し、自らが「今日の勤務は終了」と判断すれば『退勤時刻』『休憩時間』を記入します。その後、上司確認を経て労働時間が記録として残ります。
<入力支援部分のアニメーション動画>
「ヌケモレ」や「入力ミス」を減らす工夫
「全社員が、毎日欠かさず、出退勤時刻を申請する」という運用にもっていくことは容易ではありません。この「出退勤報告プロセス」においては、「毎日欠かさず申告してもらう」のための様々な工夫がなされています。
自動開始
たとえば「出勤報告忘れ」(打刻忘れ)の発生を最小化すべく、「出勤時刻を報告する」という『マイタスク』が毎朝自動的に割り当てらる仕組みになっています。労働者側は、毎朝届くリクエストに応じる形で出勤時刻を入力すればよいため、ヌケモレが発生しづらいようになっています。(ちなみに、何も入力せず20時間放置すれば自動的に「休暇日」とみなされるため、長期休暇などの際には特に操作する必要がありません)初期値設定
またデフォルト値(初期値)が予め入力されている点も「入力負荷」を下げるという観点で良いでしょう。つまり「出勤9:00/退勤17:00/休憩1時間」という想定通りの勤務を行った日は、数字入力の手間なく申請することができます。入力支援
入力支援ボタンが装飾(デコレーション)されている点も注目すべきです。最近では「カレンダー入力」や「30分ごとの時刻セレクト入力」が入力支援として多用されるようになっていますが、この例では更に「よくある候補ボタン」が列挙されています。確かに『退勤時刻』として入力される値は24時間の内でも限られている訳で、労働者の時刻入力の手間を大幅に低減していると言えるでしょう。「工夫」はメンテナンス可能な範囲で
入力フォームの動的な装飾(デコレーション)には、どうしても JavaScript 等のプログラミング知識が必要になってきます。また、バージョンアップに伴うレイアウト変更時に動作しなくなる可能性があるなど、一定のリスクを受け入れる必要もあります。「誰もメンテナンスできない Excel マクロ」の例ではありませんが、組織のリテラシやポリシーにあわせた範囲で活用されるべきと言えます。
[出退勤報告フロー:「1.出勤時刻の報告」画面]
▼『出勤時刻』のデコレーション(HTML/JavaScript)
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▼『退勤時刻』のデコレーション(HTML/JavaScript)
<button type='button' class='my17time' data-time='18:00'>18:00</button> <button type='button' class='my17time' data-time='18:30'>18:30</button> <button type='button' class='my17time' data-time='19:00'>19:00</button> <button type='button' class='my17time' data-time='19:30'>19:30</button> <button type='button' class='my17time' data-time='21:00'>21:00</button>, <button type='button' class='myAddMin' data-addmin='-5'>-5</button> <button type='button' class='myAddMin' data-addmin='-1'>-1</button> <button type='button' class='myAddMin' data-addmin='1'>+1</button> <button type='button' class='myAddMin' data-addmin='5'>+5</button> <script type='text/javascript'> jQuery('button.my17time').on('click',function(){ var timeStr = jQuery(this).data('time'); jQuery("input[name='data\\[7\\].time']").val( timeStr ); }); jQuery('button.myAddMin').on('click',function(){ var myMin = parseInt( jQuery(this).data('addmin') ); var tmpStr = jQuery("input[name='data\\[7\\].time']").val(); var tmpDate = new Date(); tmpDate.setHours( tmpStr.substring(0,2) ); tmpDate.setMinutes( tmpStr.substring(3,5) ); tmpDate.setMinutes( tmpDate.getMinutes() + myMin ); var timeStr = ('0' + tmpDate.getHours()).slice(-2) + ':'; timeStr += ('0' + tmpDate.getMinutes()).slice(-2); jQuery("input[name='data\\[7\\].time']").val( timeStr ); }); </script><br> 22時を超える勤務には事前の承認が必要です(口頭でも構いません)
<データ項目一覧画面>
[雛形ダウンロード (無料)]
- 業務テンプレート:出退勤報告フロー
- 出勤時刻と退社時刻をワークフローで! (2014-01-20)
- 勤怠管理もクラウド型ワークフローで! (2016-01-12)
- 業務システムでインフルの兆候をつかむ? (2016-02-29)
- M213 入力画面: 処理フォーム画面をデコレーションする(HTML/JavaScript) (使い方)
- M217 自動開始: 決められた日時に先頭処理が自動的に開始されるように設定する (使い方)
- M202 業務の流れ: 処理フローを定義し、各工程の締切時刻を設定する (使い方)
[英文記事 (English Entry) ]
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