- [A] 工程間における案件情報の受け渡しを自動化する
- [B] とある工程における処理を自動化する
また、前回の記事『第519話:業務プロセスの自動化とは?(その2)』では、『[A] 受け渡しの自動化』が適用可能な範囲と実現方法について述べました。
今回の記事では『[B] 処理の自動化』が適用可能な範囲と実現方法について、整理してみたいと思います。
どの様な「処理」が自動化できるのか
◇ 完全な自動化(自動工程)
『[A] 受け渡しの自動化』が「とある工程から次の工程への案件情報受け渡し」をコンピュータに任せてしまう発想だったのと同様に、『[B] 処理の自動化』は「とある工程内の作業」をコンピュータに任せてしまいます。たとえば「見積書の作成承認」のような人間依存度の高い業務プロセスにあったとしても、
- 見積書 PDF ファイルを作成する
- ファイルを添付してメール送信する
- 見積概要を社内ソーシャルに投稿する
※ ちなみに『[A] 受け渡しの自動化』と対比させる必要が無い場合には、(『自動化』という言葉を使わず)、『業務プロセスの一部工程を「無人化」する』といった表現の方が分かりやすいかも知れません。
◇ 部分的な自動化
一方で、完全に任せてしまうわけではない工程もあります。たとえば「見積書の作成承認」という業務プロセスにある「見積案を作成する」という工程で言えば、
- 見積総額を計算する
- 消費税額を計算する
[見積書の作成承認プロセス]
◇ 工程の分類
ところで、国際標準記法において「工程」は、以下の7種類に分類されます。※ 以下の中にある「送信工程」と「受信工程」はそれぞれ「送信イベント」と「受信イベント」とほぼ同義です。つまり5種類と考えることも可能です。
- サービス工程:パラメータだけで設定される自動工程
- スクリプト工程:カスタムコードがセットされている自動工程
- ビジネスルール工程:ルールエンジンで処理される自動工程
- 送信工程
- 受信工程
- ユーザ工程:ユーザとの情報やり取りがある工程
- (マニュアル工程:システムが検知できない人間等の作業工程)
自動工程においては、ワークフローシステム自身(ワークフローエンジン自身)が、
- 案件データや外部データを参照し、
- 必要な計算を行い、そして
- 案件データや外部データを更新
◇ 自動工程の具体例
近年の業務システム(ワークフロー/BPM/ERP)であれば、様々な自動工程を組み込む(デザインする)ことが可能です。たとえばクラウド型ワークフロー【Questetra BPM Suite】であれば、以下のような自動工程を配置できます。どの「自動工程」も灰色アイコンで表現されます。(一方で、ユーザ入力が必要な「ヒューマン工程」は水色のアイコンで表現されています。)
- 数値データの四則演算
- 日付データの加算減算
- 文字列データの結合
- 案件データを挿し込んだ PDF ファイルの生成
- Google Drive などの外部ストレージへのファイル保存
- 乱数の生成 (Addonによる拡張)
- パスワードの生成 (Addonによる拡張)
- 文字列データの文字数カウント (Addonによる拡張)
- 日付データの和暦変換 (Addonによる拡張)
- 社内ソーシャルへの自動投稿 (Addonによる拡張)
どの様な設定で処理が自動化されるのか
ワークフローシステムが「Webアプリケーション形態」の場合、自動工程は「サーバでの処理」となります。クラウド型ワークフロー【Questetra BPM Suite】であれば、自動工程アイコンを業務フロー図に配置し、そのアイコンのプロパティを設定することで実現します。以下にあるキャプチャを参照して頂ければわかるように、「サービス工程」(サービスタスク)の設定であればプログラミング知識を必要としません。
- 『サービスタスク(データ設定)』 M227
- 『サービスタスク(PDF 生成)』 M228
- 『サービスタスク(Google ドライブ)』 M229
- 『スクリプトタスク』 M230
- 『サービスタスク(XXXX)』 M415 ←Addonによって予め拡張したもの
<モデリング画面:「PDF生成」の設定画面>
<モデリング画面:「承認通知」の設定画面>
<モデリング画面:「社内ソーシャル投稿」の設定画面>
近い将来の自動工程
昨今、日本では生産性向上の議論が非常に活発です。たしかに今後、人工知能(AI / Artificial Intelligence)の実用化が進めば、
- 長文文章を要約する
- 質問文に対する回答文を書く
しかし、そもそも現状においてどのような工程が存在しているか、が把握されていなければ自動化は実現できません。
まずは日常的に繰り返し行われる「工程」が、どんなインプットで、どんなアウトプットになっているのか、を常に捕捉できる体制を整備する必要があると言えるでしょう。
[雛形ダウンロード (無料)]
- 業務テンプレート:見積書の作成承認プロセス
- 第499話:ナンデ見積提出の概況が分からないんだ! (2016-09-05)
- 第502話:ユラギを無くすには「マスター参照」でしょ (2016-09-26)
- 第503話:ユラギを無くすには「マスター参照」でしょ!(kintone編) (2016-10-03)
- 第498話:自動工程におけるデータ加工、アレコレ(その5) (2016-08-29)
- M228 自動工程: 業務データを挿し込んだPDF帳票が自動生成されるように設定する (使い方)
- M415 自動工程: 業務プロセス定義で利用可能な自動工程を追加する (使い方)
- M401 業務の流れ: 申請と差戻対応の工程を分け “手戻り” をモニタリングしやすいように設定する (使い方)
- M411 プロセス接続: “納品プロセス” から “請求プロセス” が自動開始されるように設定する (使い方)
[英文記事 (English Entry) ]
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