そもそも「業務プロセス」とは何か?
業務プロセスとは「いくつかの工程」を並べたものです。たとえば、多くの企業で日常的に発生する「受注報告プロセス」でいえば、
- [1] 営業部社員:受注内容を登録する
- [2] 営業リーダ:受注内容を確認する
- [3] 営業部部長:受注内容を承認する
自動化、2つの視点
そして今日、「生産性向上」のキーワードのもと、話題にあがることが多くなった「業務プロセスの自動化」は、- [A] 工程間における案件情報の受け渡しを自動化する
- [B] とある工程における処理を自動化する
「A:受け渡しの自動化」とは?
第1の視点は「案件情報の受け渡しを自動的に行いたい」というニーズです。「自動」の反対語は「手動」や「人手」であり、つまるところ「人間でない何か」に受け渡しを担ってもらうと言う話になります。今日においてはやはり、「コンピュータとインターネットによる自動化」が基本となります。
「ワークフロー・システム」と呼ばれる製品にとっては、必要条件ともいえる機能でしょう。そして、その様な自動化環境では、
- [1]の工程のアウトプットが入力されれば[2]の工程に、
- [2]の工程のアウトプットが入力されれば[3]の工程に、
もちろん「あらかじめ業務フローを設定しておく必要があります。そしてまた、現実的には、個々の案件情報が「デジタルデータ」で管理されていること(ペーパレス)が前提となります。
ワークフローによる「受け渡し」
そして今日では、フローの分岐やループに対応する製品が数多く存在します。たとえば、以下の業務プロセス定義(業務フローの設定)は、
- [1] 営業部社員:受注内容を登録する
- [1x] 営業部社員:(差し戻し受け)改めて受注内容を登録する
- [2] 営業リーダ:受注内容を確認する
- [3] 営業部部長:受注内容を承認する
- [4] 営業部部長:100万円超案件の内容を役員報告する
[受注報告プロセス]
「B:工程の自動化」とは?
次に、この例にある[4.役員報告]という『工程』に注目してみましょう。フロー図を見れば明らかなように、営業部部長は[3.承認]にて「承認する」を入力したのち、100万円超の案件については「案件の内容を全役員に報告する」という処理が必要となります。つまり、この業務プロセス定義に従えば、会議体や個別対面形式で報告したり、メールで報告したりする必要があります。
しかし、もしこの工程を「機械的な通知メール」に置き換えてしまえば、営業部部長の負荷は大きく下がります。
ワークフローによる「自動処理」
この様に「報告する」という「ヒューマン工程」を「自動工程」への置き換えることが、自動化の第2視点である「B:工程の自動化」にあたります。業務プロセス全体視点では「省力化」、工程視点では「無人化」と言われることもあります。(またBPMN では「サービス工程化」と呼ばれます)
以下の業務プロセス定義(業務フローの設定)は、
- [1] 営業部社員:受注内容を登録する
- [1x] 営業部社員:(差し戻し受け)改めて受注内容を登録する
- [2] 営業リーダ:受注内容を確認する
- [3] 営業部部長:受注内容を承認する
- [4] (営業部部長):100万円超案件の内容を役員にメール報告する
[受注報告プロセス-役員報告]
「自動工程」と「イベント」の違い
ちなみに、実際のワークフロー・システムにおいては、「メール通知」のような≪小さな出来事≫について、特に『イベント』と呼ぶことがあります。ただ『自動工程』(サービス工程)と『イベント』の違いについては、あまり議論する必要がなく、実際、
- [4] (営業部部長):100万円超案件の内容を役員にメール報告する
- [4] (イベント):100万円超案件の内容が役員にメール通知される
なお、クラウド型ワークフロー【Questetra BPM Suite】の場合、「メール通知」は『イベント』の標準アイコンとして用意されていますが、『サービス工程』の標準アイコンとしては用意されていません。(上図の例では『サービス工程』の追加機能を使っています)
- [1] 営業部社員:受注内容を登録する
- [1x] 営業部社員:(差し戻し受け)改めて受注内容を登録する
- [2] 営業リーダ:受注内容を確認する
- [3] 営業部部長:受注内容を承認する
- [4] (イベント):100万円超案件の内容が役員にメール通知される
[受注報告プロセス-役員通知]
<メール設定画面>
[受注報告プロセス:「2.確認」画面]
<データ項目一覧画面>
[雛形ダウンロード (無料)]
- 業務テンプレート:受注報告プロセス
- 業務テンプレート:受注報告プロセス-役員報告
- 業務テンプレート:受注報告プロセス-役員通知
- 第515話:契約書の承認はワークフローで!(改善編) (2016-12-26)
- 第499話:ナンデ見積提出の概況が分からないんだ! (2016-09-05)
- 第503話:ユラギを無くすには「マスター参照」でしょ!(kintone編) (2016-10-03)
- M224 自動イベント: 業務データを挿し込んだメール文が、自動的にメール送信されるように設定する (使い方)
- M203 業務の流れ: 処理フロー途中に、同時並行処理、単一選択分岐、複数選択分岐を設定する (使い方)
- M204 業務の流れ: 処理フロー途中に、ループ構造を設定する (使い方)
- M415 自動工程: 業務プロセス定義で利用可能な自動工程を追加する (使い方)
- M416 自動工程: 業務プロセス定義で利用可能な自動工程を自作する (使い方)
[英文記事 (English Entry) ]
0 件のコメント :
コメントを投稿