- [A] 工程間における案件情報の受け渡しを自動化する
- [B] とある工程における処理を自動化する
今回の記事では『[A] 受け渡しの自動化』の適用範囲について、整理してみたいと思います。
※『[B] 処理の自動化』については次回記事で整理します。
どの様な「受け渡し」を自動化できるのか
◇ フローの定義方法
日常業務において「案件情報」がスムーズに受け渡しされるようになるには、(当然ながら)、「業務の流れ」が定義されていなければなりません。案件情報を「紙」や「カンバン」で管理していた時代であれば、「業務の流れ」は業務マニュアルなどの自然言語(文章)で記述しておけば良かったと言えます。しかし、コンピュータに回付してもらうためには「コンピュータに理解できる方法」で「業務の流れ」を定義する必要があります。
言い換えれば「コンピュータに理解させられるフロー」こそが『[A] 受け渡しの自動化』の適用可能範囲と言えるでしょう。
[受注報告プロセス-役員通知]
「業務の流れを定義する方法」(業務の流れの設定方法)については、
- プログラムコードに近い定義
- 対話方式(ウィザード形式)で定義
- 業務フロー図による定義
すなわち、「定期的な更新変更が行え、かつ複雑な業務フローまでカバーしたい」、というニーズに応える現実的な方法と言えるでしょう。事実、近年の業務システム(ワークフロー/BPM/ERP)では、「業務フロー図による定義」が多く採用されています。
◇ フロー構造のパターン
では、どの程度まで複雑な業務フローに対応すべきなのでしょうか?当然ながら会社方針によって全く異なる結論になるのですが、もし「徹底した自動化」を実現したい場合は、ありとあらゆる「フロー構造」を理解する業務システムでなければなりません。
基本的な「フロー構造」のパターンとしては、
- 分岐のない直線的な工程の連続(Sequence)
- 複数経路の全てに分流するポイントがある(Parallel Split)
- 分流した同時並行処理を待機するポイントがある(Synchronization)
- 単一の経路を選択する分岐ポイントがある(Exclusive Choice)
- 分岐された経路が収束されるポイントがある(Simple Merge)
たしかに、日常業務を定義していると、
- 複数経路のうち必要な経路全てに分流するポイントがある(Multi-Choice)
- Multi-Choiceを待機するポイントがある(Structured Synchronizing Merge)
- 差し戻し構造やループ構造がある(Structured Loop)
- 分流中の作業に影響を及ぼさない終了ポイントがある(Implicit Termination)
- 分流中の作業を強制終了させる終了ポイントがある(Explicit Termination)
- キャンセル条件を満たせば次の工程に進む(Cancel Task)
なお、上記列挙の「フロー構造」で定義できないようなケースについて、「受け渡しの自動化」が実現できない可能性もあります。たとえばクラウド型ワークフロー【Questetra BPM Suite】は、(上記列挙のフロー構造は対応されていますが)、「3つの経路分流した後その内の2つまでを待機するポイントがある(Structured Partial Join / Cancelling Partial Join)」といった「フロー構造」には対応されていません。
◇ 具体的な定義例
「業務フロー図の描き方」については、世界標準化がすすんでいます。国際標準記法である BPMN を採用している企業では、業務プロセス中の『工程』を「カドの丸い四角形」で表現し、またその『担当者』は工程が配置されている『スイムレーン』で表現しています。(国際標準記法 BPMN: Business Process Model and Notation)
たとえば、上記の業務フロー図は
- [1] 営業部社員:受注内容を登録する
- [1x] 営業部社員:(差し戻し受け)改めて受注内容を登録する
- [2] 営業リーダ:受注内容を確認する
- [3] 営業部部長:受注内容を承認する
- [1] 営業部社員:受注内容を登録する
- [1x] 営業部社員:(差し戻し受け)改めて受注内容を登録する
また、一目すれば分かることですが、
- 『工程[2]』の後、『工程[1x]』へ進むか『工程[3]』に進むか
- 『工程[3]』の後、『イベント[4]』へ進むか『全工程終了』となるか
※工程からの出力フローが2本以上あるケースは「進むべき経路」の選択が必要となる設定となり、一方で、ひし形ゲートウェイでの分岐は条件式に従って自動的に経路が選択される設定となります。
どの様な操作で「受け渡し」するのか
一方で、一般社員が「業務の流れを理解したワークフローシステム」に対して行う操作は簡単です。つまり「自分が対応すべき工程」に案件が流れてくれば「入力」が求められるため、判断やコメントといった「その工程で求めらる成果」を入力すれば良いことになります。
ワークフローシステム利用者(ユーザ)の視点で言えば、入力が求められている案件が「今自身が処理しなければならない仕事の一覧」と言えるでしょう。たとえばクラウド型ワークフロー【Questetra BPM Suite】では、特に『マイタスク』と呼ばれています。
[受注報告プロセス-役員通知:「1x.差戻対応」画面]
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[英文記事 (English Entry) ]
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