一言で「代理承認」(代理決裁)といっても、プロセス設計の世界では以下の4つの形態がある。(これら以外にも更に「分任」という概念があるが、ここでは触れない)
- A. 副部長は、いつでも、部長の代わりに承認できる
- B1. 副部長は部長が不在の時、代わりに承認できる
- B2. 副部長は部長に事故ある時、代わりに承認できる
- B3. 副部長は部長が欠けた時、代わりに承認できる
もし、サーバシステムに詳しい人であれば「冗長化」という概念と対比させてワークフローを設計するのも良いだろう。すなわち、システム構成機器の一部が故障してもシステム機能が損なわれないという思想で設計するのだ。(部長が故障しても、副部長が承認できる!)
- A.(ホットスタンバイ) 副部長は、いつでも承認できる
- B.(コールドスタンバイ) 部長が承認できない時だけ、代わりに承認できる
以下の稟議フローは、案件の金額によって代理承認ルールが変わる複雑な業務プロセスを表現している。
- a. 100万円以下であれば、A(ホット)の代理承認が許される
- b. 100~500万円以下であれば、B1,B2,B3(コールド)の代理承認が許される
- c. 500万円超の案件は、部長しか承認できない(代理承認が許されない)
[稟議フロー-代理承認]
『部長スイムレーン』と『部長&副部長スイムレーン』の違いは、「部長しか処理できない」と「部長でも副部長でも処理できる」の違いだ。この様なニーズを満たすためには、
- 「起案者所属グループ」の上位組織にあって部長ロールを持つ人
- 「起案者所属グループ」の上位組織にあって副部長ロールを持つ人
※ 「部長」と「副部長」の権限範囲に差が無いのであれば「副部長ロール」の様な設定は要らない。この例は「500万円以上なら代理承認不可」とあるように、「副部長」の権限範囲が「部長」と異なる。
ところで、、、スタンバイ中の副部長にとって、部長の「B1:不在」や「B2:事故」は判断しづらい。
コンピュータ(ワークフローエンジン)の視点で言えば、「部長に事故があった」なんて知る術すらない。そこで、この業務プロセス定義では「承認工程に案件が到達するも24時間放置された」という状態で判定することとなっている。(もし「24時間も待てない!」、そんな急ぎの判断を要するなら、このワークフローの[コントロール権限]をもつユーザに特別な操作をしてもらう必要があるのだろう)
ちなみに、「B2:事故ある時」という表現は、法律文や条例文においても多く見られる。日本においては一般に「海外出張、海外旅行、長期の病気、休職など」と解釈され、各組織において「目安期間を2週間」などの定義が行われる。しかし、クラウド型ワークフローであれば、海外出張中だろうが、病気療養中だろうが、、、決裁承認できて当たり前ともいえる。
「事故ある時でも、代理は不要!」
そんな部長が居ても不思議はない。そういう視点においても、「副部長は、24時間放置された場合に代理承認できる」というのは、かなり合理的なルールと言えるのではないだろうか?
PS
なお、一定の期間、副部長に対して全権を代理させたい(全権を委任したい)のなら、(必要なら会社組織として「臨時部長」の辞令を出したうえで)、ワークフロー基盤の組織設定においても「部長」と設定すべきだ。(職務代理者の設置)
[稟議フロー-代理承認:「1.稟議を提出する」画面]
<データ項目一覧画面>
[雛形ダウンロード (無料)]
- 業務テンプレート:稟議フロー-代理承認
- 第462話:稟議書を回す(基本業務パック) (2015-12-21)
- 第466話:出張申請に対する承認は「課長代理」のシゴトだ (2016-01-18)
- 第471話:オレの申請に「決裁」は要らぬ! (by 部長) (2016-02-22)
- M202 業務の流れ: 処理フローを定義し、各工程の締切時刻を設定する (使い方)
- M203 業務の流れ: 処理フロー途中に、同時並行処理、単一選択分岐、複数選択分岐を設定する (使い方)
- M401 業務の流れ: 申請と差戻対応の工程を分け “手戻り” をモニタリングしやすいように設定する (使い方)
[英文記事 (English Entry) ]
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