裁判プロセスを BPMN で描く (民事訴訟の流れ)

2015年8月17日
およそ「ルール」と呼ばれるモノは「文字」で記述されている。
  • 法律
  • 行政手続
  • 社内規程
  • 学校の校則
そして、その中には「手続きの流れ」についても記述されている。

言うまでもないが、もし『プロセス図』があれば「ルール全体を理解させる/する際のコスト」を大きく下げることができるだろう。前回紹介したプロセス図「法律案の審議プロセス」も、日本の立法ルールを理解するには非常に有用だ。 (BPMN: Business Process Model and Notation)

以下に紹介するプロセス図は「民事訴訟の裁判プロセス」だ。

日本における「司法ルール」が描かれており、「三審制」や「簡易裁判所の位置づけ」を理解するに有効な図と言える。例えば Web サイト「裁判手続きのご案内」にこの図を貼り付ければ、サイト訪問者の理解に資することは間違いない。
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_minzi/index.html

ちなみに、以下の業務プロセス図が、「民事訴訟」のうち「通常訴訟」(個人の間の法的な紛争)に限定して記述されている点に注意されたい。(刑事訴訟・行政訴訟・特許訴訟・家事事件・少年事件などは含まれない)

[民事裁判フロー]



  • 「三審制とは、まさにワークフローだなぁ」
  • 「ほー、高等裁判所が第三審になることもあるんだ」
  • 「なるほど、提出した『訴状』は口頭弁論の前に審査されるのね」
  • 「へぇー、良く分からないケド『特別上告』というルールもあるのかぁ」
このプロセス図を眺め見るだけでもイロイロと知識を得ることができる。事実、通常訴訟の流れについては、およそ全て記述されている。(ちなみに業務プロセスの先頭部分にある「Webフォーム」で『訴状』を受け付けている風な表現だけはウソ)

もっとも、メザトイ方なら「飛越上告」(とびこしじょうこく)という制度が記述されていない事に気づくかもしれない。しかし、それとてこのワークフロー定義で対応できていないとも言えない。第二審の記録を「双方合意のもと通過」と考えば良い。(「事実認定」に争いがなく「法律審」を希望するケース)


なお、日本における民事訴訟の件数は「簡易裁判所」と「地方裁判所」の合計で60万件にのぼる。これだけの流量があるなら、是非「クラウド型ワークフロー」を試していただきたいものだ。(「過払い金返還バブル」があった頃はもう少し多かったらしい)

ちなみに、(この件数は「世界の訴訟発生率」と比べると圧倒的に少ないそうだが、それでも)、最高裁判所まで持ち込まれるケースが年間6000件程度発生している。つまり、最高裁は民事訴訟だけで毎日30件程度を裁かねばならない計算になる。たしか日本の最高裁裁判官は15人(3チーム)しか居なかったハズだ。却下/棄却が多いとはいえ、良く回っているものだと思う。

[民事裁判フロー:「1.訴えの提起」画面]

<データ項目一覧画面>


[雛形ダウンロード (無料)]
<類似プロセス>
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[英文記事(English Entry)]

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