マイナンバー制度をワークフロー化する(3)

2015年6月29日
マイナンバー法は、会社に対して
  • a: 正確性. 「入力ミス、しないでね」
  • b: 正当性. 「その人の番号か、確認してね」
と言っている。 前回までに紹介した「マイナンバー申請プロセス」
は、これらの法令理念に沿った取得プロセスと言えるだろう。しかも非常にシンプルだ。

番号確認担当(経理部門)は、申請フォームに「後日『通知カード』との照合確認を行います」と書かれているように、社員の座席まで行って確認すれば良い。そのついでにマイナンバー制度や日頃の管理業務に関する疑問や質問にも答えられる。中小企業であればこれで十分だ。(むしろ都合が良い)

しかし仮に、「大規模組織における申請プロセス」として見れば、色々と問題がある。
たとえば「在宅就労者が100人を超えるような会社」や「アルバイトを毎月100人雇用するような会社」を想像してみる。もはや経理部門だけで『a.タイプミス番号』や『b.なりすまし番号』を見抜くことは難しい。経理部門内のノウハウも分散するだろう。故意に他人になりすまして職を得ている人や、所得を分散しようとしている人には、無力と言わざるを得ない。(『タイプミス番号』については「チェックディジット」を活用すればその大半を回避できるかもしれない。→前回記事

<チェックディジットUI>

概していえば、管理部門の人手が足りない組織は、
  • X. 照合確認を組織内で分担する(全店長・全課長らが確認する)
  • Y. オンラインで照合確認できるだけの書類を添付してもらう
といった戦略をとらざるをえない。以下のワークフロー例は「X. 分担する」の発想となっている。

[マイナンバー申請フロー(3)]

[マイナンバー申請フロー(3):「1.申請」画面]

[マイナンバー申請フロー(3):「申請(バイト)」画面]

この業務プロセスは、「番号確認の作業」を現場リーダ達に委ねている。経理部門が主体的に確認活動を行っていた前回までの業務プロセスとは全く異なったコンセプトだ。(さらに、ワークフロー・システムのユーザでないアルバイトが申請できるように拡張されている)

ただ、ここで注意したいのは「向き」「不向き」だ。

つまり、現場のリーダ達に専門業務に没頭することが期待されているような組織では、やはり「不向きである」と言わざるを得ない。一方で金融機関や公的組織など、マニュアルや内部統制に対してアレルギー反応がない組織であれば「向いている」だろう。

業務プロセスの改善活動においては、ついつい「効率的である」「効率的でない」という議論をしてしまう。実際、
  • 「個人番号カード」を見せてもらう(← 2016年1月以降に発行してもらえる写真付きの身分証明書)
  • 「運転免許証」と「通知カード」を見せてもらう
  • 「パスポート」と「通知カード」を見せてもらう
といった『本人確認の措置』(法16条)は、対面で対応できる「現場処理」の方が圧倒的に低コストだ。しかし、それが「形骸化してしまう可能性が高い工程」なのであれば、むしろ存在しない方が良い。

<データ項目一覧画面>


[雛形ダウンロード (無料)]
<類似プロセス>
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[英文記事(English Entry)]

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