第563話:国税庁PDFで年末調整

2017年11月27日

業務:年末調整

年末の風物詩「年末調整」。

経理部は、1月から11月にかけて概算で徴収してきた『所得税』を、年末12月に精算するのだ。そのためには全社員について「扶養家族の数」や「保険料の支払い」といった情報が必要になる。

去年までは「社員側が開始させる申請ワークフロー」を使ってきた。

もちろんこのフロー、、、経理側が黙っていて次々申請されるモノではない。11月中旬に「月末までに申請してくださいよーーー」という社内アナウンスを、2度・3度と実施する必要がある。1割くらいの人が「月末まで」を守らないので、12月に入ればスグに督促活動に入る。そうしないと12月中に精算を終わらせられない。(税理士さんにも迷惑がかかる)

もっとも、あの膨大な入力フォームも、昨年の申請を[再利用してプロセスを開始]すれば、年度情報を「+1」するだけで完成するので、(しかも自動計算機能もあるので)、ヤル気になれば一瞬で終わる作業なのだが。。。

うーむ、気分よく年を越したい。。。(本期限の「1月精算」はミス対応のための予備日)

※ ちなみに台紙PDFは、毎年の変更手間を減らす細工がなされている (Questetraアドオン
  • 平成X年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申請書(76フォーム)
  • 平成X年分 給与所得者の保険料控除申請書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申請書 (157フォーム)

課題:未提出者に対する督促

しかし、、、やはり「社員が開始させるフロー」は「誰が未提出なのか」が分かりにくい。

ただでさえタイトなスケジュールだ。経理部にとっては「未提出者の一覧」こそが重要なのに。。。他の申請と違って、「提出者の一覧」は、どうでもイイ。(優秀な社員の一覧?)

一度、全社員の[マイタスク]に、『年末調整書類の提出』を強制的に流し込むワークフローについても検討してみよう!! そのやり方であれば、「申請が完了していない社員」を簡単に捕捉できるはずだ。

※ どうやら近い将来、会社での年末調整は廃止されるようだし、(日経新聞 2017-10-16:「政府税調、年末調整の手続きを電子化する方針」)、「プロセス改革」の練習にちょうど良い!?! ついでに「再提出/再作成が必要なフロー」も整備したいな。。。

[年末調整書類の提出フロー]



<タイマー開始イベント設定サンプル>

解決:マイタスクの自動追加

この業務プロセスでは、「タイマー開始イベント」を使って、全社員の[マイタスク]に申請タスクが追加される仕組みになっています。

具体的な設定はフロー図やサンプル画面を確認していただくと一目瞭然ですが、たとえばこの例では、11月1日の朝9:00に「スイムレーン引受候補者の全員」のマイタスクに『年末調整書類の提出(PDF入力&アップロード)』が表示されるように設定されています。

大量のプロセスが同時に開始されるため、その瞬間には第一工程『1.PDF入力&アップロード』に大量の案件が滞留することになります。(ステータスモニタリング機能=ヒートマップ)。しかしその後、提出者が増えるにつれて『2.経理確認』に流れていくでしょう。

なお、「社員側の証明書発掘」や「経理部側の確認ミス」によって再作成が必要になった場合にも、経理部側から手動開始できるようにもなっています。(その進捗もモニタリングしやすくなっています)

<テンプレPDFのイメージ:マルフ>

考察:ファイルの自動添付

このワークフローの秀逸な点は、「入力可能なPDF」(PDFフォーム)が添付される点です。

そもそも「去年までのフロー」では、台紙PDFとしてのPDFフォームがサーバサイドにセットされワークフローシステムによって自動データ投入されていました。しかし、この業務プロセスでは、社員が案件データとして添付されているPDFフォームを、(1)ダウンロードし、(2) Adobe Acrobat Reader にて加筆し、(3) そのファイルを添付申請する、という流れが想定されています。社員にしてみれば非常に直観的に処理できるでしょう。(ただし入力項目間の自動計算はできなくなります)

しかも、そのファイルはあらかじめ「社内の入力ルール」が反映された「社内テンプレ」になっています。(「会社住所」なども記載されています)

たとえば「個人番号」(マイナンバー)の欄には『提供済みの個人番号と相違ない』という番号(?!)が記入されています。これは「マイナンバー等を記載した一定の帳簿を備えている場合には、マイナンバーの記載を不要とする」(国税庁 FAQ1-3-2)が適用されているため、社員がワザワザ自分のマイナンバーを調べることが無いようにするための配慮と言えるでしょう。


なお、この「社内テンプレ」の実体ファイルは Google Drive に保存されています。

そして、案件プロセスが生成される度に、自動工程「Google Drive ファイル取得」(工程名:『テンプレGet』)にて、案件データとして取り込まれる仕組みになっています。この様にしておけば Google Drive にアクセスできない社員(G Suite アカウントを持たない社員)にも、ワークフロー内で社内テンプレを参照してもらえるようになります。
  • 平成29年分 保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書
  • 平成30年分 扶養控除等(異動)申告書
  • 平成29年分 扶養控除等(異動)申告書 (★扶養家族に増減があった場合のみ)

PS:国税庁のPDF配布

ところで、「扶養控除申告書」(マルフ)や「保険料控除申告書」(マルホ)については、2016年の年末から国税庁自身によって「入力可能なPDF」(PDFフォーム)が公開されています。

もしこのようなオープンなファイルを、案件データとして自動取込させたい場合には「Google Drive ファイル取得」の自動工程を「HTTPファイル取得」に置き換えると良いでしょう。

※ もっとも、、、入力フォーム画面にURLを貼っておけば、申請者が各自ダウンロードできます。すなわち、わざわざワークフローシステムに自動で取り込む意味はほとんどありません。。。「社員のファイル取得ミスを減らしたい」とか?、「少しでも社員の手間を減らしてあげたい」とか?、「国税庁ホームページからブロックされている」とか?、、、その様なケースでしか有用ではありません。

[年末調整書類の提出フロー:「1.PDF入力&アップロード」画面]

<データ項目一覧画面>


[雛形ダウンロード (無料)]
<類似プロセス>
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