第539話:時刻が来れば自動的に「受け取った」ことになる工程

2017年6月12日

「検収報告を受ける」という受け身な工程

イラスト制作・Webサイト制作・内装工事。。。そんな受託事業には「検収対応」がツキモノです。

請負契約に基づく案件は、単に、(1)成果物を「納品する」だけではなく、(2)クライアントから「検収報告書を受け取る」という段階を経て始めて、(3)委託費を「請求する」ことが可能となります。

(もっとも、特別な取引関係にあっては「検収工程」が省略され「納品即請求」が許されるケースもありますが…)


世界中で
  • クライアントの為に「検収報告書」のサンプルを添付する
  • 文書名を『納品書』とせず『検収依頼書(兼 納品書)』といった名前にする
といった涙ぐましい努力や工夫が行われています。

何をする工程か決まってない?

しかし、現実の「検収報告の受領」は、
  • A. 納品当日に「検収報告書」を渡してくれるケース
ばかりではありません。
  • B. 検収期限ギリギリに「検収報告書」を送ってくれるケース
  • C. 検収報告書の提出は行われず「みなし検査合格に関する規定」の適用を前提とするクライアント
など、様々なケースが発生してしまいます。更に言えば、
  • D. 「成果物が仕様を満たしていない」と判断されて検収期間の延長を迫られるケース
  • E. 「成果物が仕様を満たしていない」と判断されて再納品を迫られるケース
もあるでしょう。

ではこの様な場合、どのように業務プロセスを描けばよいのでしょうか? とくに「何もせずに期限がきて終わる」という(C)は、どのように表現すれば良いか悩みます。

[検収対応フロー]


全パターンを業務フロー図に表現する

上記は、想定対応パターンを全てカバーした業務フロー図です。

キモとなる『検収対応・検収報告書受領』というヒューマン工程からは、
  • ab. 検収報告を受領した
  • c. (自動的に『みなし検収合格』になった)
  • d. 検収期限を延長する
  • e. 検収納品を断念する
という経路(≒処理)が出力されています。中でも注目すべきは、(c)や(d)のケースに相当する経路です。

工程の自動完了と完了時刻の変更

BPMNベースのワークフロー・モデリングでは、ヒューマン工程の締切時刻を『検収期限』とすることで、「その時刻になったら自動的に次工程に流れる」という業務ルールが表現できます。(タイマー境界イベント)。

これは、フロー途中に配置される滞留イベント(タイマー中間イベント)が

「その時刻まで必ず滞留し続ける。(誰も次の工程に進められない)」

のに対して、

「その時刻まで必ずしも滞留し続けない。つまり担当者はいつでも任意の工程に進めることができる」

という点で大きく異なります。


なお、ヒューマン工程の締切時刻は、ヒューマン工程に到達時に設定されるため、基本的に変更できません。しかし、そのヒューマン工程から「出て」自身に「戻って」くるフローを追加しておけば、(疑似的に、)担当者自身がその締切時刻を変更することが可能となります。


この様なワークフロー定義にしておけば、最下流の請求担当者も「どのような処理を経て流れてきたのか」が一目して認識できるようになるでしょう。また、経営層や管理職も「いまどの状況にあるのか」をモニタリングできるようになります。


[検収対応フロー:「2.検収対応・検収報告書受領」画面]

<データ項目一覧画面>


[雛形ダウンロード (無料)]
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