言うのは簡単だが、実践するのはナカナカ難しい。実際「全てのお客様の声に即応する」のが不可能な時だってある。たとえば「人手リソース」を動的にスケールさせる(変化させる)仕組みにも限界がある。いや、待て。そもそも「単純に人手を増やす」という方針は、それは「コスト増」につながる話だ。延いては、お客様の為にならない。
う~む、「誠実にお応えする」とは何か?
大きなヒントは『ISO 10002』だ。すなわち「苦情対応プロセスについて PDCA サイクルによる継続的な改善を行うこと」に主眼を置くのだ。(組織としての成熟度を高めると言っても良い)
具体的に言えば、顧客からの意見要望を受け付けてから、顧客への応対が終了するまでの進捗を捕捉記録する。そして、「苦情対応プロセスの流れ」や「業務マニュアル」を改善し続ける。(まさに Business Process Management (BPM) 活動そのもの)
- ISO 10002: Quality management (Customer satisfaction):
Guidelines for complaints handling in organizations (2004) - JIS Q 10002: 品質マネジメント (顧客満足):
組織における苦情対応のための指針 (2005)
以下のワークフロー定義は、非常にシンプルな「苦情対応プロセス」だ。
※ 「クレーム対応プロセス」あるいは「問合対応プロセス」と呼んでも良い。
まずは1週間なり1か月なり、このシンプルなワークフローで実際の「お客様の声」を回す。そして、蓄積された処理記録と実体験とを踏まえ、一回目のプロセス改編を行う。更にその後、その改善サイクルを繰り返す。
なお、このワークフロー定義、、、「顧客マスター」を参照できる点が秀逸だ。「顧客マスター」を用意すれば、「ユラギのない顧客名」が簡単に入力できるようになる。
[問合対応プロセス]
このワークフローは「問合メールの受信」「問合フォームの入力」などがトリガー(きっかけ)になる。
たとえば「問合メール」が届いた瞬間に、1つの「回答文作成案件」が自動的に起動される。そしてその後は、業務フロー図に従って流れていくのだ。(もっとも、即回答できる案件であれば、工程「1.回答の作成」だけで終了してしまうのだが)
なお、「回答メール文」もテンプレート文がセットされるほか、回答に要した時間(回答所要時間)が自動計算されるところが嬉しい。また、回答データが蓄積されれば、
- 製品サービスへの反映
- フローや手順の継続的な是正
実際に運用してもらえば体験できるが「顧客マスターの参照」は秀逸だ。ここで想定されているマスターフォーマットでは「売上貢献度」がスグに参照できる。対応優先度を決める際の参考となる。
※もっとも『ISO 10002』には「すべての人々を平等に扱う」という一般原則が書かれているが。。。
また、このワークフロー定義の[業務マニュアル]は未設定だ。実際に運用する際には、各社の「顧客対応マニュアル」を貼り付けておくのが良いだろう。新人社員でも自身がすべきことを認識できる。(「CMS マニュアル」とも言われる:Complaints handling Management System)
※※ ISO 10002
http://www.iso.org/iso/home/store/catalogue_tc/catalogue_detail.htm?csnumber=65712
ISO 規格として「第三者認証制度」は規定されていない。ただ、日本品質保証機構(JQA)といった組織の「評価サービス」を活用することで、社内では得られない「気づき」をもらえるかもしれない。
▼「(顧客マスターを参照)」の JavaScript 設定サンプル
//// == ワークフローデータの参照 / Retrieving == // 「問い合わせ文」を取得 var fromname = data.get("2") + ""; //「お名前」を取得 var company = data.get("4") + ""; //「会社名」を取得 var addr = data.get("6") + ""; //「メールアドレス」を取得 var inq = data.get("8") + ""; //「ご質問・ご相談」を取得 var subject = data.get("11") + ""; //「(受信メールサブジェクト)」を取得 var ccaddr = data.get("12") + ""; //「(Ccアドレス」を取得 var inqId = data.get("1") + ""; // 受付番号 //// == 演算 / Calculating == // CcアドレスからMLアドレスの削除 var ccaddr2 = ccaddr.replace( "support@questetra.com", ""); // 「回答メール文」のドラフトを生成 var inquirywithmark = inq.replace(/(^.*$)/gm, "> "+"$1"); // 行頭マーク var templatebodytext = "\ \n\ \n\ お問い合わせ頂き、誠にありがとうございます。\n\ \n\ \n\ \n\ 今後とも Questetra をよろしくお願いします。\n\ -- \n\ ───────────────────────────────────\n\ ■株式会社クエステトラ カスタマーサービス\n\ Email: support@questetra.com \n\ Tel: 075-205-5007 \n\ 問合フォーム: http://www.questetra.com/ja/contact/ \n\ Facebook: http://www.facebook.com/Questetra \n\ ───────────────────────────────────\n\ \n\ \n\ "; //// == ワークフローデータへの代入 / Updating == // 「件名」をセット processInstance.setProcessInstanceTitle(fromname + "様 (" + company + ") "); // 「回答文」のドラフトをセット retVal.put("26", addr); // Reply To retVal.put("27", ccaddr2); // Reply Cc retVal.put("29", "Re:" + subject); // Reply Subject retVal.put("30", company + '\n' + fromname + " 様\n\(問合番号: " + inqId + ")" + templatebodytext + addr + '\n' + inquirywithmark);
▼自動工程「所要時間計算」のサンプルコード
//// == ワークフローデータの参照 / Retrieving == // com.questetra.bpms.util.AddableTimestamp var offerDatetime = data.get("37"); var endDatetime = data.get("38"); //// == 演算 / Calculating == var OpeningOfBusiness = 9; // 対応開始時刻 9:00 var CloseOfBusiness = 18; // 対応終了時刻 18:00 //計算用の開始時刻 d1 var d1 = offerDatetime; // 0時から9時に申請の場合、開始時刻を9時とみなす // 18時以降に申請の場合、日付を翌日に進め、9時にセットする if(offerDatetime.getHours() < OpeningOfBusiness){ d1 = offerDatetime.getFirstTimeInDate().addHours(OpeningOfBusiness); }else if(CloseOfBusiness <= offerDatetime.getHours() ){ d1 = offerDatetime.addDays(1).getFirstTimeInDate().addHours(OpeningOfBusiness); } //計算用の終了時刻 d2 var d2 = endDatetime; // 18時以降に終了の場合、18時とみなしてセットする // 0時から9時に終了の場合、日付を前日に戻し、18時にセットする if(CloseOfBusiness <= endDatetime.getHours() ) { d2 = endDatetime.getFirstTimeInDate().addHours(CloseOfBusiness); }else if( endDatetime.getHours() < OpeningOfBusiness ){ d2 = endDatetime.addDays(-1).getFirstTimeInDate().addHours(CloseOfBusiness); } ///正味経過時間 // 経過日数=夜の数(d) var intervalDate = ( Math.floor(d2.getTime() / 1000 /3600 /24 ) - Math.floor(d1.getTime() / 1000 /3600 /24) ) ; // 経過時間(h) var intervalHour = ( d2.getTime() - d1.getTime() ) / 1000 / 3600; var netIntervalHour = intervalHour - intervalDate * (24 - CloseOfBusiness + OpeningOfBusiness); var netIntervalHour2 = Math.floor( netIntervalHour * 100 + 0.5 ) / 100; //※小数点以下第2位で四捨五入 if(netIntervalHour2 < 0){netIntervalHour2 = 0;} // 深夜に申請、深夜に終了の場合などをゼロに //// == ワークフローデータへの代入 / Updating == retVal.put("39", java.math.BigDecimal( netIntervalHour2 ) );
▼自動メール「受付番号通知」の設定サンプル
Subject: 受付番号通知: ${[受付番号:1]} Body: ${[受付番号:1]} で受け付けました。 ※ 本メールはお客様からのお問い合わせを確認した時点で システムから自動的に送信されるメールです。 Questetra へお問い合わせいただき、ありがとうございます。 お問い合わせにつきましては、担当者よりメール回答いたします。
[問合対応プロセス:「1.回答の作成 (支援依頼)」画面]
<データ項目一覧画面>
[雛形ダウンロード (無料)]
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- M319 プロセスモデリング環境: 複数の業務プロセス定義から参照される選択肢XMLを登録する (使い方)
- M216 入力画面: 処理フォーム画面を大幅にカスタマイズする(高度なレイアウト) (使い方)
- M218 自動開始: 特定メールアドレスにメールが届いた時に自動的に開始されるように設定する (使い方)
- M220 自動開始: 公開フォーム画面に入力があった時に自動的に開始されるように設定する (使い方)
- M213 入力画面: 処理フォーム画面に “入力ヒント” が表示されるように設定する(HTML/JavaScript) (使い方)
- M227 自動工程: 業務データの結合や四則演算が自動実行されるように設定する (使い方)
- M230 自動工程: 業務データの複雑なデータ加工が自動実行されるように設定する(ECMAスクリプト) (使い方)
- M404 データ項目: “取引先社名” が[件名]に途中セットされるように設定する(文字列の自動結合例) (使い方)
[英文記事 (English Entry) ]
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