領収書は『スキャナ保存』のススメ

2015年1月19日
スキャナ活用で「ペーパレス」を推進!

社内の稟議書や申請書のペーパレスならそれほど難しくないが、取引先から受け取った書類の電子化(ペーパレス)には法律の壁がある。

しかし2014年秋、日本の『電子帳簿保存法』(※)も大幅に改正される見込みとなった。まさに今、政府内/国会で検討されている最中であり、最新動向については『スキャナ保存 制度 見直し』あたりのキーワードで検索して頂きたいところだが、2015年1月時点での方向性は以下の様になっている。注目すべきは、2015年中にも「3万円以上の契約書・領収書は紙のまま保存!」の制限が撤廃される点だ。
  • 「紙保存」じゃないとダメって言ってた重要書類も『スキャナ保存』でOKデス
  • 「電子署名」についても、もう要らないデス(タイムスタンプと入力者IDは必要)
  • 「税務署への事前申請」についても、もう要らないデス
※ 正式名称: 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律 (1998-2007)

日本経済新聞(2014年11月5日)
政府は税務調査の証拠となる領収書や契約書の原本を原則7年間保管するよう企業に義務付けた規制を2015年にも緩める方針だ。3万円以上の場合に紙のまま保管するよう求めていたが、スキャナーで読み取って画像データを保存すれば原本を捨てられるようにする。米国や韓国は税務関連の書類の電子保存を広く認めており「岩盤規制」の撤廃にようやく踏み出す。... 領収書や契約書を受け取ってから速やかにスキャナーにかけることや読み取った日時がわかるように記録することなども求める。画像データは現在の紙の領収書などと同様に7年間の保存を義務付ける。

▽最新動向
参考)自民党・公明党による「平成27年度 税制改正大綱」 (2014-12-30) の『六.納税環境整備』(p113)にある『3.税務関係書類に係るスキャナ保存制度の見直し』(p115)


では、仕入部門が調達時に交わした「契約書」や、営業マンが持って帰って来た「領収書」を、全てスキャナでパソコンに取り込んでしまえば良いのだろうか?

話はそこまで簡単な話ではない。政府与党の『税制改正大綱』によれば、「内部統制を担保するために、相互けん制、定期的なチェック及び再発防止策を社内規程等において整備するとともに、これに基づいて事務処理を実施している事」が要件となる見込みだ。これは「適正事務処理要件」と言われるのだが、要するに『適正に事務処理される仕組み』が構築されていなければならない。

以下の「経費申請」は、支払証憑(※)の電子化を含むワークフローだ。スキャナの「Scan to Email 機能」を使って書類画像を取り込むところから始める事も可能となっている。(「売上」に分類される取引書類はまた別の機会で…)

※証憑(しょうひょう):取引の成立を立証する書類

[経費申請]


[経費申請:「1.支払情報の確認」画面]

仕組みとしては極めて簡単だ。

スキャナから届いたメールが [メール開始] の API によって取り込まれる仕組みとなっている。事務が取引年月日や支払先を入力し(0.支払情報/担当者の入力)、担当者がその内容を確認する(1.支払情報の確認)流れだ。ここでは一応、上司承認の工程を作っている(2.支払承認)が、そこまでの相互けん制が必要ない業種なら削除しても良いだろう。

ちなみに『A.スキャナ保存』を『B.電子取引』と混同してはいけない。

※『スキャナ保存』(電子帳簿保存法 第4条3項)
※『電子取引の取引情報』(電子帳簿保存法 第10条)

(1)Webサイトで申し込む、(2)クレジットカードで決済する、(3)デジタルの明細書が届く、の様なケースは『B.電子取引』であり、もともと電磁気的な保存(電子保存)が認められている。その様な支払いも併せて記録したい場合は、担当者自身が支払情報を入力できる(1b.支払情報の入力)様にすればよい。

2015年に予想される電子帳簿保存法改正で「紙保存の呪縛」から解放され、『書類』も『帳簿』も全てを電子保存できるようになれば、多くの企業で大きな変化が起きるだろう。税理士や会計士(監査法人)との調整が容易な、中小企業やベンチャー企業の方が適応が早いような気もする。いずれにせよ、ホコリまみれになる「受領領収書ファイル」が「2015年分」で終了する事を願う。


<国税関係帳簿>
棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに計算、整理又は決算に関して作成されたその他の書類

<国税関係書類>
取引に関して、相手から受け取った契約書、領収書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し(契約金額の記載のある契約書又は金銭若しくは有価証券の受取書で、その記載された契約金額又は受取金額が三万円未満のものを除く。)

<スキャナ保存分類>
◆a. 契約書・領収書
 資金や物の流れに直結・連動する書類のうち特に重要な書類
◆b. 請求書・納品書など
 資金や物の流れに直結・連動する書類
◆c. 見積書・注文書・申込書など
 資金や物の流れに直結・連動しない書類
※ 解像度 200dpi 以上の画像

<データ項目一覧画面>


[雛形ダウンロード (無料)]
<類似プロセス>
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