マイナンバー法は、会社に対して
  • a: 正確性. 「入力ミス、しないでね」
  • b: 正当性. 「その人の番号か、確認してね」
と言っている。 前回までに紹介した「マイナンバー申請プロセス」
は、これらの法令理念に沿った取得プロセスと言えるだろう。しかも非常にシンプルだ。

番号確認担当(経理部門)は、申請フォームに「後日『通知カード』との照合確認を行います」と書かれているように、社員の座席まで行って確認すれば良い。そのついでにマイナンバー制度や日頃の管理業務に関する疑問や質問にも答えられる。中小企業であればこれで十分だ。(むしろ都合が良い)

しかし仮に、「大規模組織における申請プロセス」として見れば、色々と問題がある。
たとえば「在宅就労者が100人を超えるような会社」や「アルバイトを毎月100人雇用するような会社」を想像してみる。もはや経理部門だけで『a.タイプミス番号』や『b.なりすまし番号』を見抜くことは難しい。経理部門内のノウハウも分散するだろう。故意に他人になりすまして職を得ている人や、所得を分散しようとしている人には、無力と言わざるを得ない。(『タイプミス番号』については「チェックディジット」を活用すればその大半を回避できるかもしれない。→前回記事

<チェックディジットUI>

概していえば、管理部門の人手が足りない組織は、
  • X. 照合確認を組織内で分担する(全店長・全課長らが確認する)
  • Y. オンラインで照合確認できるだけの書類を添付してもらう
といった戦略をとらざるをえない。以下のワークフロー例は「X. 分担する」の発想となっている。

[マイナンバー申請フロー(3)]
マイナンバー申請での「誤入力」、、、ありそうだ。。。(怖)

経験論的な話として、社員からの申請にはその5%~10%くらいに「誤入力」が含まれる。(そして往々にしてアルバイトさんよりベテラン社員達からの申請の方がヒドイ!)。わざわざ申請してもらい所得税や社会保険の公的手続きに利用したとしても、そもそも「申請されたナンバー」が間違っていたのでは、手続きそのものをやり直さなければならなくなる。(悲劇)

マイナンバー法の想定では、「提供の要求」(H27法14)をする企業側が、(1)正確な12桁をあずかり、(2)それが本人のモノであることを確認する、、、のだが、、、たとえば子沢山な社員の場合では、何人分もの「12桁」を入力するワケで、「絶対ミスるな」とも言い難い。

以下のワークフローは、マイナンバー(個人番号)入力時に「チェックディジット判定」を行っている。

つまり、入力時の「12桁数字」が「マイナンバーとしてはありえない12ケタ数字」だった場合、入力エラーと表示される仕組みだ。この工夫だけで、誤入力を激減させることができるだろう。なお、このワークフローは、前回エントリの拡張であり、データ項目定義や基本的なフローは同じだ。

[マイナンバー申請フロー(2)]
日本にも「マイナンバー」がやってくる。

社会システム全体の効率化のためには、避けては通れない制度だ。
  • 行政の業務プロセスも、
  • 企業の業務プロセスも、
これから大きく変わっていくのだろう。。。何にせよ、今年(2015年)の10月にも「通知カード」が書留郵便で届く。赤ちゃんからお年寄りまで、「住民票」があるヒト全員に。。。 と言うことで、本ブログでは、企業に当座必要なワークフローについて考えてみたい。(「社会保障/税/災害対策」の3分野+αに展開される制度の全体像については他記事に譲る)

以下のワークフローは、非常にシンプルな「マイナンバーの申請フロー」だ。

ほぼ全ての企業は「所得税の納税」(源泉徴収)や「保険・年金の加入」の義務がある。つまり「マイナンバーを集めない」(個人番号を集めない)という選択肢はない。従業員や役員など、全員からモレなく集める必要があるのだ。早いウチに(=「通知カード」を紛失してしまうマデに?)申請してもらうのが、会社にとっても、社員にとっても良い。

[マイナンバー申請フロー(1)]

内部監査室や社外取締役が、最大4人の社員に対してアンケート調査を行う。
普通に考えれば、
  1. 上流に「調査をセットする工程」を作り、
  2. 下流には、4つに分流させた上で4つの「回答工程」を作る、
ことになる。もちろん、各自が記入する回答欄は別々に作り互いに見えないようにすることで、他の人の意見に惑わされることなく回答できるようにする。。。

この業務フローについては、すでに過去3週に渡ってアレコレ考察してきた。

しかしこれらのワークフロー、、、回答内容こそ見えないものの、「他の調査対象は誰か?」は分かってしまう。それぞれの社員が独立して回答すべきケースにおいて…、あるいは調査を行っていること自体を隠蔽(いんぺい)したいケースにおいては、使いづらい。

※ 調査を4回に分けて行えば良い、ともいう話もあるが、色々メンドウ。。。

以下は、アンケート回答工程を別の業務プロセスとして分離することで、「他の回答者」を隠蔽している。

[進捗報告プロセス(親プロセス)]

[進捗報告プロセス(子プロセス)]

「業務プロセス管理」などと説明されると、少し分かりにくい、、、
むしろ、「ルーティーン・プラットフォーム」と説明された方がシックリ来る、、、

という人は少なくない(一般従業員の視点)。説明方法はさておき、、、クラウド上の『マイタスク』(ToDo)を見れば、いま自分が為すべき事がわかるというのは本当に有り難い。「いつでも」や「どこからでも」のキーワードは、リモートワークの視点でも重要だろう。

しかし、その時、「締切時刻を過ぎてしまったタスク(ToDo)」が、大量に残っているとテンションが下がる。

以下は、そのような事態が発生しないようにデザインされたルーティーン(業務プロセス)だ。「調査に対して回答する」というタスク(ToDo)は、『回答締切時刻』になれば自動的に消滅する。

[進捗報告プロセス-締切設定]